茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

シリーズ・喘息⑤  高齢者と喘息の関係について解説します。

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!

 

本日も、「シリーズ・喘息」、喘息についてリアルに解説したいと思います。本日のテーマは当院でも非常に増えてきている、高齢の方の喘息についてです。

 

高齢者と喘息の関係については、一般的な喘息患者とは異なる特徴や課題があり、その管理と治療には特別な注意が必要です。5日目の今日は、以下のように主なポイントをまとめます。

 

 

 

1. 高齢者喘息の特徴
診断の遅れ: 高齢者では、喘息の症状が他の呼吸器疾患(例えばCOPDや心不全、そのうちここでも解説します)と似ているため、診断が遅れることがあります。また、高齢者は喘息の典型的な症状(例えば、喘鳴や咳)が軽減していることが多く、診断が難しくなることがあります。
慢性疾患との合併: 高齢者は高血圧、糖尿病、心疾患などの慢性疾患を持つことが多く、これらの合併症が喘息の管理を複雑にします。また、複数の薬を服用していることが多いため、薬剤の相互作用に注意が必要です。
過小評価: 喘息の症状が加齢による変化として誤解され、本人や医療従事者が喘息の症状を軽視してしまうことがあります。


2. 高齢者喘息の症状と診断
症状: 高齢者の喘息症状は若年者と似ていますが、呼吸困難、咳、痰の増加が多く見られる傾向があります。また、夜間や早朝に症状が悪化することが一般的です。
診断: 高齢者の喘息診断には、気道の過敏性や呼吸機能検査が必要ですが、加齢に伴う呼吸機能の低下や他の肺疾患(COPDなど)との鑑別が難しいことがあります。気道可逆性試験(気管支拡張薬に対する反応を測定する試験)が有用ですが、患者が協力できない場合もあります。


3. 高齢者喘息のリスク要因
アレルギー: 若年者の喘息と異なり、高齢者の喘息ではアレルギー性の要素が少ない傾向がありますが、ダニやカビなどに対するアレルギーが引き金となることもあります。
喫煙: 長年の喫煙歴は気道の炎症を悪化させるため、高齢者の喘息リスクを増加させます。
環境要因: 空気汚染や職業性の粉塵、刺激物なども喘息のリスクを高めます。


4. 治療と管理
薬物療法: 高齢者の喘息治療には、吸入ステロイド薬(ICS)や長時間作用型β2刺激薬(LABA)などが一般的に使用されます。しかし、高齢者は吸入薬の使い方が難しいことがあり、デバイスの選択や指導が重要です。併用する薬剤が多いため、薬物相互作用や副作用にも注意が必要です。
非薬物療法: 適切な栄養管理、適度な運動、禁煙、環境中のアレルゲンや刺激物の除去が重要です。また、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種は喘息発作のリスクを減少させるため推奨されます。


5. 高齢者喘息の予後
高齢者の喘息は、若年者に比べて重症化しやすく、生命予後にも影響を及ぼす可能性があります。発作時の気道閉塞が重篤になりやすく、救急受診や入院のリスクが高いとされています。
定期的な医療機関の受診や治療計画の見直しが重要であり、家族や介護者の支援も必要です。


6. 高齢者喘息の予防
環境管理: アレルゲンの除去、室内の湿度管理、喫煙の禁止などが予防に有効です。
早期発見と治療: 初期症状を見逃さず、早期に診断と治療を開始することが、症状の進行を防ぐために重要です。
まとめ
高齢者における喘息は、他の慢性疾患との合併や診断の難しさ、薬物治療の複雑さなど、若年者とは異なる課題があります。適切な診断と治療、環境調整、家族や介護者の協力を得ることで、QOL(生活の質)を維持し、重症化を防ぐことが可能です。医療従事者は、高齢者特有のニーズに対応した個別化した治療プランを策定することが求められます。

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和9年10月1日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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