驚異の国インド(Incredible India)
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御存知の通り、人口増加の著しいインドにおいて、喘息人口も増加傾向にあり、深刻な公衆衛生の問題となっています。喘息はインドの人口の約10%に影響を与えて(14億人の10%、つまり1.4億人!!)いる現状です。
インドでの喘息の原因として、なんといっても環境汚染や大気質の悪化が大きな要因です。都市部、特にデリーなどの大都市では、自動車の排気ガスや工場からの排出物質が喘息の悪化に寄与しており、PM2.5などの微細な浮遊粒子物質が呼吸器系に悪影響を及ぼします。インドの都市部は世界的にも大気汚染が深刻な地域として知られており、当然として、このような状況が喘息患者の発作の増加に繋がっています。
インドの大都市で1日息をするだけで、20本分のタバコを吸うに等しく肺に影響を与えるとする専門家もいます。また、自動車や向上排ガスだけでなく、インドならではの様々な宗教行事で使われる花火などもこれら大気汚染に関係していると言われています。
また、ほかにも、家庭内での燃料の使用も喘息の発症リスクを高める一因です。特に農村部では、料理の際に薪や石炭などの固形燃料が使用され、これが家庭内の空気を汚染し、喘息症状を悪化させる原因となっています。また、古い家屋のハウスダストやペットの毛、衛生状態によりカビといったアレルゲンも喘息患者に影響を及ぼします。季節による気候変動や湿度の変化も喘息発作のリスクを高める要因です。
さらに、これは日本と大きく異なる点ですが、インドでは喘息患者に対する医療の質が地域によって大きく異なります。デリー、ムンバイ、コルカタなどの都市部の病院やクリニックでは、喘息に関する知識を持った医師や最新の治療設備が整っていることが多い一方、農村部や小都市では医療へのアクセスが限られており、適切な治療を受けることが難しい現状があります。多くの人が喘息を一時的な症状と考え、適切な診断や治療を受けずに市販薬で症状を抑えようとするため、発作が重症化しやすい傾向にあります。
あまり言いたくないことなのですが・・・・
南インドの都市ハイデラバードには喘息を治すために生きた魚を頭から食べる習慣(魚療法)が未だにあるくらいです。
物流に関しては、喘息治療に必要な吸入器や気管支拡張薬はデリー、ムンバイ、コルカタなどの都市部では比較的手に入りやすいものの、農村部では流通の問題がおおきくて入手が難しい現状があります。こうした地域格差が喘息患者の健康状態に影響を及ぼしており、早期の発見・治療が遅れることで患者の生活の質に大きな影響を及ぼしています。
これらの大きな問題の中で、インド政府は喘息などの呼吸器疾患の対策に積極的に取り組んでおり、National Programme for Prevention and Control of Cancer, Diabetes, Cardiovascular Diseases and Stroke(NPCDCS)という有名なヘルスケア・プログラムの中で、喘息やその他の非感染性疾患の予防と管理を進めています。このプログラムでは、診断や治療の普及を目的として、医療従事者のトレーニングや地域住民への啓発活動を着実に行っています。
さらに、インド政府は先ほど説明したような深刻な大気汚染の改善にも力を入れているようです。National Clean Air Programme(NCAP)は、インドの主要都市における大気質改善を目的とし、車両の排気ガス削減や工場の排出管理、エネルギー転換などの対策を推進しています。
しかし、これら環境政策は医療政策と同様に、ある程度の効果が現れるまでには膨大な月日を要することでしょう。そのむかし、僕が学生の頃、ヨーロッパのユースホステルで出会った世界中のバックパッカーたちから、「インドに行くと生き方が変わるよ」とよく聞いていました。Incredible India、今後のインドの発展に期待していきましょう。それでは。
今日はこのへんで。また次回お会いしましょう。
ナマステ!フィルミレンゲ!!
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令和6年11月2日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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