茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!
最近は喘息治療のICS(吸入ステロイド)を当院で導入するお子様が大変増えてきており、お母様から、「運動を続けられるか?」とご質問を受けることがよくあります。
以前、当ブログで喘息のリスクファクターとして運動を取り上げ、激しい運動や突然の運動は、運動誘発性喘息と呼ばれる症状を引き起こすことがあり、気道が狭まって発作が起こることがあることをお伝えしました。そこで今回は、運動と喘息の関係について、詳しくリアル解説したいと思います。
スポーツや持久力を要する活動においては、激しい呼吸により気道に冷たい空気や乾燥した空気が入り込むため、喘息発作を引き起こすリスクが高まります。しかし、フィギュアスケートの羽生結弦さんや、サッカーのデビットベッカムのように、小児期から気管支喘息を持ちながらもトップレベルのアスリートとして活躍する人々も存在します。
喘息と運動の関係
喘息は、主に運動によって誘発される「運動誘発性喘息(Exercise-Induced Asthma, EIA)」と「運動誘発性気管支収縮(Exercise-Induced bronchoconstriction, EIB)」の形で現れます。運動をすると、体内での酸素供給が必要になるため、呼吸数や呼吸量が増加します。特に寒冷・乾燥した環境下での運動は、気道を刺激し、喘息の症状である息切れ、咳、喘鳴を引き起こしやすくします。これにより、通常の呼吸が困難となり、運動パフォーマンスの低下を招く可能性があります。
しかし、適切な予防や管理を行うことで、喘息患者さんでも安全に運動が可能です。それでは、step-by-stepで喘息のかたの運動について説明していきます。
運動前の準備
喘息を持つアスリートにとって、運動前の準備は非常に重要です。以下の対策を講じることで、喘息発作を予防することができます:
ウォームアップの実施:適切なウォームアップは、気道の負担を軽減し、急激な運動に対する体の準備を整える効果があります。通常のストレッチや軽い有酸素運動で、体を徐々に温めてから運動に入ると良いでしょう。
薬の使用:医師から処方されたICS(ステロイド吸入薬)は、運動前にあらかじめ使用することで、気道を開き、喘息発作の発生リスクを軽減する効果が期待されます。特に短時間で作用するβ2作動薬は、運動前に用いると効果的です。
運動中の対策
喘息を持つアスリートは、運動中も以下の点に注意する必要があります。
呼吸のコントロール:激しい呼吸によって気道に冷たい空気が急激に流れ込むのを防ぐため、なるべく鼻呼吸を意識することが推奨されます。鼻呼吸により、空気は温められ湿度が加わるため、気道への刺激が軽減されます。
環境の選択:寒冷や乾燥した場所での運動は喘息発作を引き起こしやすいため、可能であれば暖かく湿度のある環境で運動することが望ましいです。特に冬季の屋外トレーニングには注意が必要です。
水分補給:水分が不足すると、気道の粘膜が乾燥し、刺激を受けやすくなるため、運動中はこまめな水分補給が必要です。
運動後のケア
運動後のケアも喘息管理には重要です。
クールダウンの実施:急に運動をやめると気道が収縮しやすくなるため、徐々にペースを落とすクールダウンを行うことで、喘息発作を防ぎやすくなります。
薬の使用:運動後に喘息症状が出た場合は、リリーバーの吸入など、必要な薬を使用します。
症状の記録:運動後の症状を記録し、医師に報告することで、喘息管理の質を高めることができます。当院では、とくに運動後の息の上がり方などを外来で聞いています。
まとめ
喘息は運動パフォーマンスに影響を与える可能性がある一方で、適切な管理と準備によって安全に運動することが可能です。喘息を持つアスリートにとって重要なのは、事前のウォームアップや薬の適切な使用、運動中の環境選択と呼吸法、運動後のケアといった一連の対策をしっかり行うことです。こうした管理によって、喘息患者でも高いパフォーマンスを発揮し、安全に運動に取り組むことができると考えます。
茅ヶ崎のスポーツ男子、スポーツ女子の皆様、当院は心からみなさまを応援しています。喘息や病気に負けず、思う存分それぞれの競技に取り組んでください!がんばれ!茅ヶ崎のアスリート!
0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和6年11月8日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/