茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!
今日は、患者様からも相談がありました、最近よく耳にする「FASTING DIET」「ファスティング」「断食ダイエット(間欠的断食)」について、糖尿病診療の観点からお話ししようとおもいます。
間欠的断食とは?
「間欠的断食(Intermittent Fasting=IF)」は、一定時間食事をとらないことで体重減少や代謝改善を目指す方法です。
たとえば、「16時間食べずに8時間だけ食べる」「1日1食にする」などのスタイルが流行しています。
SNSでは「痩せる」「健康に良い」といった声があふれていますが、最近になって医療の現場ではかなーり慎重な見方が広がっています。
筋肉が大きく減ってしまう
最新の研究では、間欠的断食によって体脂肪だけでなく筋肉も多く失われることが明らかになっています。
筋肉と脂肪の減り方を比べると、なんと筋肉が2倍以上減っているケースも。
これは糖尿病患者さんにとって特に問題です。筋肉は血糖のコントロールにも深く関わっており、糖代謝の主要器官といえます。
筋肉が減るとインスリンの効きもとうぜん悪くなります。
脱毛や睡眠トラブルなどの副作用も
さらに、断食を続けている人の中には以下のようなトラブルを訴える方もいます:
•髪が薄くなった
•眠れない
•気分の浮き沈みが激しい
•生理が止まった
特に「髪が生えにくくなる」という報告は衝撃的です。
今年、CELLという国際的な生物化学雑誌で取り上げられたある研究では、断食により脂肪が急激に分解されて発生する有害な脂質が髪の再生を妨げる可能性があることが示されました。
Intermittent fasting triggers interorgan communication to suppress hair follicle regeneration(Cell, 2025年1月)
「脂肪燃焼=健康」ではない?
断食で「脂肪を燃やす」のは一見良さそうに聞こえますが、その過程で体内に酸化ストレスが増えます。
このストレスは細胞を傷つけ、糖尿病、肝臓や腎臓の負担を悪化させる要因にもなるのです。
糖尿病管理では“極端な食事制限”はNG
糖尿病の食事管理では、「栄養バランス」と「安定した血糖コントロール」が基本です。
極端な断食によって血糖値が不安定になったり、低血糖を起こすリスクもあります。
まとめ:「本当にその断食、必要ですか?」
もし今、断食や1日1食にチャレンジしている方がいたら、一度立ち止まって考えてみてください。
筋肉が落ちて、血糖管理が悪くなっていませんか?
髪や肌の調子が悪くなっていませんか?
イライラしたり、眠れない日が増えていませんか?
体重が減っても、健康を犠牲にしているとしたら本末転倒です。
当院では、糖尿病患者さんそれぞれに合った無理のない食事法をご提案しています。
「どんな食事が自分に合っているのか分からない」「最近体調がすぐれない」という方は、ぜひ当院まで一度ご相談ください。
0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和7年5月10日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/