茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!
今回は一昨日も少し触れました、「SPIDDM(緩徐進行1型糖尿病)」という少し聞き慣れないタイプの糖尿病についてお話しします。「糖尿病には1型と2型がある」というのは先日ご説明したばかりですが、このSPIDDMはその中間のようなタイプ。「緩やかに進行する1型糖尿病」とも呼ばれています。
SPIDDMって、どんな病気?
SPIDDMは英語で Slowly Progressive Insulin-Dependent Diabetes Mellitus の略です。日本語では「緩徐進行1型糖尿病」と呼ばれています。
SPIDDM(緩徐進行型糖尿病)
特徴
発症時の様子 最初は2型糖尿病のように見える(血糖値が高いけど、インスリンは少し出ている)
進行のしかた ゆっくりと進み、数年かけてインスリンが出なくなっていく
治療の変化 最初は飲み薬でコントロールできることもあるが、いずれインスリン注射が必要になる
自己抗体 1型糖尿病と同じように「自己免疫」によって膵臓のβ細胞が壊れていく(抗GAD抗体が陽性のことが多い)
なぜ「2型糖尿病」と間違われやすいのか?
SPIDDMは発症時、インスリンを少しは出せているため、初めは2型糖尿病と診断されることが多いです。ところが、治療をしていても徐々に血糖コントロールが難しくなり、最終的にはインスリンが必要になるため、後からSPIDDMと診断されることがあります。
SPIDDMの診断について
以下の検査や病歴聴取が診断の手がかりになります:
・GAD抗体(自己抗体)の検査:
陽性なら、自己免疫によるβ細胞破壊が疑われます
・インスリン分泌量の評価(Cペプチドなど):
Cペプチドは、体内で作られたインスリンの量を示す指標です。
・血糖コントロールの経過観察:
飲み薬での効果がだんだん落ちてくるかどうか
・家族歴や体型も参考に:
SPIDDMの人は、2型糖尿病のように肥満が目立たないことが多いです
SPIDDMの治療について
SPIDDMは、最初は飲み薬でうまくいくこともありますが、いずれインスリン補充が必要になります。これは、膵臓のインスリンを作る細胞(β細胞)が時間とともに壊れてしまうからです。
しかし、早めにインスリンを使い始めることで、残っている膵臓の機能を守ることができる可能性もあるため、「インスリン=最後の手段」ではないということも、ぜひ知っておいてください。
まとめ
もし、 SPIDDMと診断されたら、まずは、落ち着いて、医師と一緒にこれからの治療の計画を立てましょう。SPIDDMはゆっくり進行するため、慌てて何かを変える必要はありません。今の生活を見直しつつ、無理なく治療を続けていくことが何より大切です。心配なことがあれば、遠慮なく当院まで。
0歳から150歳まで、
予約なしでもみんなが笑顔になる、
茅ヶ崎ファミリークリニックです。
お気軽にどうぞ。
令和7年5月16日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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