毎回お伝えしているマンジャロについて、当院の外来で患者様に度々ご質問を受けることがあり、「マンジャロで死亡例があったって本当?」などとその安全性について聞かれることも増えています。
最近のSNSで度々話題になっているように、やせ願望の強い人や摂食障害のある人が安易に手を出すことで、死亡例に限らず、深刻な健康被害につながるケースが懸念されています。
今回は、マンジャロと拒食症、anorexia nervosa(神経性やせ症)の危険な関係、そして安全に使うための注意点についてお話しします。

マンジャロってどんな薬?
何度もこのブログでは説明していますが、マンジャロは、GLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬の作用を併せ持つ注射薬で、
• 血糖値を下げる
• 食欲を抑える
• 胃の動きをゆっくりにして満腹感を長持ちさせる
といった効果があります。
そのため、肥満治療や体重減少効果が期待され、多くの方が「やせ薬」として関心を持つようになっています。
拒食症とマンジャロの危険な関係
拒食症の方や、過度なやせ志向がある方がマンジャロを使うと、次のようなリスクが高まります。
1. さらに食欲が落ちてしまう
もともと食事量が少ないのに、マンジャロで食欲が抑えられることで、摂取カロリーが極端に減ってしまいます。
2. 急激な体重減少による体調悪化
心臓の機能低下、不整脈、低血圧、筋力低下など、命に関わる症状が出ることもあります。
3. 低血糖や栄養失調
糖尿病がない人でも、食事量が少ない状態で血糖降下作用が働くと、低血糖を起こす可能性があります。
4. 精神的な悪循環
「もっとやせられる」と思って薬を使い続け、拒食傾向が強化されてしまう危険性があります。
マンジャロを使う上での注意点
- 医師の診断・管理下でのみ使用する
美容目的や短期間のやせ希望での自己判断使用は非常に危険です。 - • 摂食障害の既往がある場合は特に慎重に
拒食症や過食症を経験したことがある方は、精神的な症状が再燃しやすくなります。 - • 体重よりも健康状態を指標にする
「何kgやせるか」ではなく、筋肉量・血液検査・日常生活の活力などを重視しましょう。 - • 急激な体重減少は避ける
安全な減量ペースは、1ヶ月に体重の3〜5%以内が目安です。
まとめ
マンジャロは確かに強力な体重減少効果を持つ薬ですが、その効果は諸刃の剣です。
特に拒食症や過度のやせ願望を持つ方にとっては、命に関わる危険性を高める可能性があります。
もし使用を検討する場合は、必ず医師の監督のもと、食事や運動、メンタル面のサポートを組み合わせながら行うことが大切です。
健康を損なってまでやせることは、本当の意味での「美しさ」や「幸せ」にはつながりません。
それでは、今日はこの辺にしておきます。
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令和7年 7月31日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
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