以前このブログで、「マンジャロ(Tirzepatide)が膵炎のリスクを下げる可能性がある」という話題を取り上げました。
しかし最近、
「マンジャロは膵炎リスクになるのでは?」
という逆の声を非常に多く耳にします。
今日は、その誤解を解きほぐすために、American Diabetes Association(ADA:米国糖尿病協会)の2024年コンセンサスレポートや最新の研究データをもとに、マンジャロと膵炎の関係を整理してお伝えします。
ADA 2024年スタンダード・オブ・ケアとは?
ADA(米国糖尿協会)は毎年、糖尿病治療の「標準」をまとめたStandards of Careを発表しています。
2024年版では、GLP-1受容体作動薬やGIP受容体作動薬(マンジャロはその両方の作用を持ちます)を、糖尿病や肥満治療の重要な選択肢として推奨しています。
つまり、最新の国際的ガイドラインにおいても、安全性と有効性のバランスがとれた薬剤として位置づけられているということです。

「膵炎リスクが高い」は事実か?
「マンジャロで膵炎が起きることがある」という情報は確かに存在します。
ただし、臨床試験のデータではその発生率は非常に低く、他の薬やプラセボ(偽薬)とほぼ同じという結果が出ています。
例えば、1万人以上を対象とした解析では、マンジャロによる膵炎発症は約0.2〜0.3%程度。
インスリンや他のGLP-1薬と比較しても有意な差はなく、統計的に「特別リスクが高い」とは言えません。
FDA(米国食品医薬品局)の製品情報でも、膵炎の既往がある患者さんには注意が必要とされていますが、全体的な発生率は「非常にまれ」と明記されています。
むしろ膵炎リスクを下げる可能性も
興味深いことに、GLP-1受容体作動薬は膵炎の再発リスクを減らす可能性があるという報告もあります。
これは肥満や2型糖尿病の患者さんを対象とした研究で、膵臓への炎症再発が減少した例が見られたというものです。
つまり、「膵炎を起こす薬」というよりも、背景にある代謝環境を改善することで膵炎のリスクを下げるかもしれないという見方もできるのです。
誤解が生まれる理由
• 副作用欄に「膵炎」が記載されている → 実際の発生頻度がどれほど低いかは注目されにくい
• メディアで個別事例が強調される → 科学的な全体像よりも印象が先行する
こうした背景から、「膵炎リスクが高い」というイメージが独り歩きしてしまうことがあります。
まとめ
現時点での科学的知見からは、
• マンジャロが膵炎リスクを大きく高めるという根拠はない
• 発生率は他の治療薬と同等で非常にまれ
• 一部では膵炎再発の予防効果の可能性も指摘されている
という結論になります。
もちろん、膵炎の既往がある方や強い腹痛などの症状が出た場合は、すぐに医療機関での診察が必要です。
しかし、「膵炎リスクが高いからマンジャロは危ない」という一方的な見方は、現時点の科学的根拠では支持されません。
茅ヶ崎ファミリークリニックでは、最新のガイドラインとエビデンスに基づき、安全で効果的な治療をご提案しています。
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令和7年 8月8日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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