当院の開業した2024年に大流行したマイコプラズマ肺炎は、作年秋ごろに一時的な増加がみられたものの、その後は比較的落ち着いている印象です。
今後の流行に備え、マクロライド耐性を防ぐ対策が重要とされています。
そんななか、最近、小児におけるマクロライド耐性マイコプラズマがなぜ問題になっているのかを裏付ける、重要な論文が米国のから発表されました。
今回はその内容を、できるだけわかりやすくご紹介しようとおもいます。
この報告は、米国のCDC(疾病予防管理センター)が発行する医学誌に掲載されたものです。

Macrolide-Resistant Mycoplasma pneumoniae in Children, Ohio, USA https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/31/12/25-1008_article
何が調べられた研究なのか?
この研究では、米国オハイオ州の小児を対象に、
• COVID-19の流行が落ち着いたあと
• マイコプラズマ感染がどのくらい増えたのか
• その中に「薬が効きにくい菌」がどれくらいいたのか
を、約2年にわたって継続的に調査しています。
マイコプラズマはどれくらい流行した?
調査期間は
2023年9月〜2025年5月 です。
この間に行われた検査は 45,320件。
そのうち 7,969件(17.6%) がマイコプラズマ陽性でした。
→つまり、約6人に1人がマイコプラズマ感染だったということになります。
これは、COVID-19流行中に減っていたマイコプラズマが、
感染対策の緩和とともに再び広がったことを示しています。
「薬が効きにくいマイコプラズマ」はどれくらいいた?
次に重要なのが、薬剤耐性の問題です。
陽性検体のうち、詳しく遺伝子解析が行われたのは 2,014検体でした。
その中で、薬が効きにくくなる遺伝子変異が見つかったのは 90件(4.5%) でした。
いつが一番多かった?
耐性の割合はずっと同じではなく、
2024年10月に最大8.7%まで上昇していました。
なぜ耐性が増えたのか?
この研究で非常に重要なのは、
アジスロマイシン(マクロライド系抗菌薬)の処方量と耐性率が並行して変動していた点です。
• アジスロマイシンの処方が増える
→ 耐性菌の割合が増える
• 処方が減る
→ 耐性菌も減る
という動きが確認されました。
そして注目すべきことに、
2025年3月以降は耐性菌が検出されなくなっています。
→耐性菌は「一方的に増え続けるものではない」ことが分かります。
耐性マイコプラズマは重症になりやすい?
この研究では、
耐性マイコプラズマに感染した子どもは、入院率が高かったことも報告されています。
これは、
• 薬が効きにくく
• 症状が長引きやすい
という臨床の実感と一致する結果です。
この研究が伝えている一番大切なこと
この論文が強調しているのは、
「リアルタイムでの流行と耐性の監視がとても重要」という点です。
• 流行状況を把握する
• 薬の使われ方を見直す
• その結果、耐性菌を減らすことができる
という流れが、実際のデータで示されました。
ただし、この報告は、
「抗生物質が危険」という話ではありません。
• 必要なときに、必要な薬を使う
• 効きが悪い場合は経過を丁寧に見直す
• 不要な抗菌薬使用を避ける
こうした日常診療の積み重ねが、耐性菌を増やさないことにつながる
ということを教えてくれる研究です。
まとめ
• COVID-19後、マイコプラズマは再び流行した
• 薬剤耐性は最大8.7%まで上昇した時期があった
• 抗菌薬の使用状況と耐性は強く関係していた
• 使用が落ち着くと、耐性菌は検出されなくなった
• 耐性菌は入院率が高く、注意が必要
正確な情報に基づき、
落ち着いて診断・治療を行うことが、子どもたちを守る一番の方法です。
それでは、
0歳から150歳まで、
予約なしでもみんなが笑顔になる、
茅ヶ崎ファミリークリニックです。
お気軽にどうぞ。
令和7年 1月16日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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