茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

心不全パンデミック!?――皆さん聞いたことありますか?

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!

 

「心不全パンデミック」――皆さんは、この言葉を聞いたことがありますか?

 

"パンデミック"というと、新型コロナウイルスのような感染症を思い浮かべる方が多いと思います。

 

ですが、心不全は人から人へうつる病気ではありません。それなのに、私たち循環器の医療に関わる者は、あえて"パンデミック"という強い言葉を使っています。それくらい、これから患者さんが増えていくと考えられているのです。

 

今回は、この「心不全パンデミック」について、そして心不全という病気そのものについて、分かりやすくお話しします。

 



 

「心不全パンデミック」とは?

日本は、世界でもトップクラスの超高齢社会です。

 

心不全は、年齢が上がるほど起こりやすくなる病気です。海外の研究では、50歳代では発症する方は1%ほどなのに対し、80歳以上になると10人に1人にまで増えるとも報告されています。

 

つまり――高齢の方が増えれば増えるほど、心不全の患者さんも増えていきます。

 

国内の心不全の患者さんは、こう推計されています。

• 以前は100万人に達していなかった

• 2025年には約120万人

• 2030年には130万人を突破する見込み

 

このように、心不全の患者さんが感染症のように急激に増えていく状況を、なぞらえて「心不全パンデミック」と呼んでいるのです。

 

心不全には「再発しやすい」という特徴もあります。一度よくなっても、また悪くなって入院を繰り返す方が少なくありません。

 

患者さんが増え、入院が必要な方があふれてしまうと、病院が受け止めきれなくなる――そうした事態が心配されています。だからこそ、「ならないように予防する」「悪くさせないように治療する」ことが、とても大切になってきます。

 

そもそも「心不全」とは?

「心不全」という言葉を、ひとつの病名だと思っている方が多いのですが、実は少し違います。

 

心不全とは――"心臓の働きが弱まって、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態"の総称です。

 

日本循環器学会などは、患者さん向けにこう表現しています。「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」――とても分かりやすい言い方だと思います。

 

原因はさまざまです。

• 高血圧を長く放置していた

• 心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気

• 不整脈

• 弁膜症(心臓の弁の異常)

 

こうした積み重ねの"結果"として、心臓が少しずつ疲れていき、心不全という状態にたどり着きます。

 

ですから、心不全を防ぐということは、その手前にある高血圧や糖尿病をきちんと管理することと、地続きなのです。

 

こんなサインに気をつけて

心不全は、いきなり起こることもありますが、多くの場合、体は少しずつサインを出しています。

 

次のような症状があれば、一度ご相談いただきたいサインです。
• 階段や坂道で、以前より息が切れるようになった

• 横になると息苦しく、起き上がると楽になる

• 足のすね やくるぶしがむくむ(指で押すと跡が残る)

• 急に体重が増えた(数日で2〜3kgなど)

• 夜中に咳が出る、眠れない

• 疲れやすく、だるさが抜けない

 

特に「むくみ」と「急な体重増加」は、体に水分がたまってきているサインのことがあります。「歳のせいかな」と見過ごされやすいのですが、心臓からの大切なメッセージかもしれません。

 

気になる症状があれば、早めに相談することが何より大切です。

 

心不全を防ぐ・進ませないために今日からできること

心不全は、「もう歳だから仕方ない」とあきらめる病気ではありません。日々の心がけで、発症を防いだり、進行をゆるやかにしたりすることができます。

 

今日から意識していただきたいことを挙げます。

• 血圧・血糖をきちんと管理する(高血圧・糖尿病の治療を続ける)

• 塩分を控えめにする(むくみ予防につながります)

• 毎日、体重を量る習慣をつける

• 足のむくみを毎日チェックする

• 処方された薬は自己判断でやめない

• タバコは控える、お酒はほどほどに

当院は、内科・糖尿病内科・呼吸器内科を中心に、地域のかかりつけ医として診療しています。

 

高血圧や糖尿病の管理は、心不全を防ぐうえでの"土台"です。茅ヶ崎ファミリークリニックでは、血圧や血糖のコントロールから、息切れ・むくみといった気になる症状のご相談まで、一緒に考えていきます。

 

また、通院がむずかしくなった方には訪問診療というかたちで、ご自宅でも療養を支える体制を整えています。心不全とつきあいながら、住み慣れた場所で過ごしたい――そんな想いにも寄り添っていきたいと考えています。

 

茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い

1. 毎日の「体重」と「むくみ」をチェックしましょう
心不全のサインは、毎日の小さな変化に表れます。体重とむくみは、ご自宅でできる一番やさしい見張り役です。

 

2. 高血圧・糖尿病の治療を、途中でやめないでください
「調子がいいから」と自己判断で薬をやめてしまうのは、心臓にとって大きな負担になります。気になることがあれば、やめる前にご相談ください。

 

3. 「いつもと違う」を感じたら、早めにご相談ください
息切れ、むくみ、急な体重増加――少しでも気になることがあれば、予約の有無にかかわらず、どうぞお気軽にお越しください。

 

まとめ

これからの超高齢社会で、心不全の患者さんは確実に増えていきます。それが「心不全パンデミック」と呼ばれる理由です。

 

ですが、心臓からのサインに早く気づき、手前にある高血圧や糖尿病をしっかり管理することで、防げる・進行を遅らせられる部分はたくさんあります。

 

• 心不全は、心臓が弱って息切れやむくみが出る"状態"の総称

• 高齢化とともに患者さんは増え続けている

• むくみ・急な体重増加・息切れは大切なサイン

• 高血圧・糖尿病の管理が、何よりの予防になる

 

「歳のせい」と片づけず、少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。地域の皆さまが、心臓を労わりながら自分らしく過ごせる毎日を、一緒に支えていきます。

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和 8年 5月 26日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 副院長 酒井 和也

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/