茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

血液ドロドロ?――自覚症状がないからこそ怖い、脂質異常症のお話

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!

 

「血液ドロドロ」――。

テレビの健康番組や、職場の健診のあとなんかで、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。

 

なんとなく体に悪そう。でも、自分にどう関係しているのかはよく分からない。そんな方も多いと思います。

 

実はこの「血液ドロドロ」、医学的にはほとんどの場合 「脂質異常症(ししついじょうしょう)」 という、れっきとした病気のサインです。

 

今回は、健診で「コレステロールが高め」「中性脂肪が引っかかった」と言われた方に向けて、脂質異常症について分かりやすくお話ししていきます。

 



そもそも「血液ドロドロ」って何のこと?

「血液ドロドロ」というのは、あくまでイメージの言葉です。

実際に血液を顕微鏡で覗いて、ねっとりした液体が流れているわけではありません。

 

多くの場合、この言葉は

• 悪玉コレステロール(LDL)が高い

• 中性脂肪(TG)が高い

• 善玉コレステロール(HDL)が少ない

といった、血液中の脂のバランスが崩れている状態――つまり 「脂質異常症」 を指していることがほとんどです。

 

「ドロドロしている気がする」という感覚は、残念ながらご本人には分かりません。

分かるのは、血液検査の数字だけです。

 

脂質異常症とは?――3つのタイプを知っておきましょう

脂質異常症は、大きく分けて3つのタイプがあります。

 

健診の結果票を見ながら、ご自身がどのタイプか確認してみてください。

• 高LDLコレステロール血症 LDL(悪玉)コレステロール 140 mg/dL 以上

• 低HDLコレステロール血症 HDL(善玉)コレステロール 40 mg/dL 未満

• 高トリグリセライド血症 中性脂肪(TG) 150 mg/dL 以上(空腹時)

このうち一つでも当てはまれば、医学的には脂質異常症と診断されます。

 

「悪玉」「善玉」という呼び方は分かりやすいので使われていますが、本当は両方とも体に必要な脂質です。

大切なのは 「バランス」 なんですね。

 

自覚症状がない――それが、脂質異常症の一番怖いところ

脂質異常症の本当に怖いところは、「症状がほとんどない」ということです。

 

高血圧のように頭が痛くなるわけでもなく、糖尿病のように喉が渇くわけでもありません。

「今日は調子が悪いな」と感じることもなく、毎日ふつうに過ごせてしまう。

 

ですが、その間にも血管の壁には、じわじわとコレステロールが溜まり続けています。

これが 動脈硬化(どうみゃくこうか) と呼ばれる状態です。

 

血管が硬く、もろく、内側が狭くなっていく。

 

そしてある日突然、

• 心筋梗塞

• 脳梗塞

• 大動脈解離

といった、命に関わる病気として表に出てくる――これが脂質異常症の本当の姿です。

 

「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれるゆえんです。

 

どんな人が脂質異常症になりやすい?

脂質異常症は、決して「太っている人だけの病気」ではありません。

当院でも、痩せていてもLDLが200を超える方は珍しくありません。

 

原因として大きいのは、次のようなものです。

• 食事(動物性脂肪や甘いものの摂りすぎ)

• 運動不足

• 加齢(特に女性は閉経後に上がりやすい)

• 遺伝(家族性高コレステロール血症など)

• 糖尿病、高血圧、甲状腺の病気との合併

特に、糖尿病や高血圧をお持ちの方は要注意です。

これらが重なると、動脈硬化の進み方が一気に加速します。

 

逆に言えば、一つひとつをきちんと管理していけば、リスクは確実に下げられるということでもあります。

 

今日からできること

脂質異常症の治療の基本は、いきなり薬ではありません。

 

まずは生活の中で、無理なくできることから始めていきます。

• 青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を意識して取り入れる

• 揚げ物・脂身の多い肉・バターを控えめに

• 食物繊維(野菜、海藻、きのこ、豆類)を毎食足す

• お菓子、ジュース、菓子パンの「ながら食べ」を減らす

• 1日合計30分くらい、軽く息が弾む程度のウォーキング

• お酒は適量で、休肝日をつくる

• 禁煙――これだけで動脈硬化のリスクは確実に下がります

「全部を完璧に」ではなくて構いません。

 

まずは 「これならできそう」 と思えるものを、一つだけ選んでみてください。

続けることが、何よりの薬になります。

 

お薬による治療について

生活改善を頑張っても数値が下がらないとき、あるいは、すでに心筋梗塞や脳梗塞を起こされた方には、お薬による治療を検討します。

 

代表的なのは スタチン と呼ばれるお薬です。

 

肝臓でのコレステロール合成を抑えることで、LDLを着実に下げてくれます。

 

外来でよく聞かれるのが、

「一度飲み始めたら、一生やめられないんでしょう?」

というご質問です。

 

確かに、自己判断で急にやめると、リスクが元に戻ってしまうことが多いのは事実です。

 

ですが、生活改善が進んで数値が安定すれば、量を減らしたり、中止を検討できるケースもあります。

 

大切なのは 「自分で勝手にやめない」「主治医と相談しながら調整する」 ということ。

お薬は、決して敵ではなく、血管を守るための味方です。

 

茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い

1. 健診結果は捨てずに持ってきてください
「コレステロール、ちょっと高いかも?」と感じたら、結果票を持って当院にお越しください。経年での変化も含めて、一緒に確認します。

 

2. 自覚症状がなくても、放置しないでください
症状がないからこそ、脂質異常症は怖い病気です。年に1回は必ず採血で確認しましょう。

 

3. 糖尿病・高血圧をお持ちの方は、特にご相談を
合併すると動脈硬化のリスクが跳ね上がります。当院は内科・糖尿病内科として、まとめて一緒に診ていきます。

 

4. お薬のことは、一人で悩まずに
「飲みたくない」「やめたい」「副作用が心配」――どんなお気持ちも、まずは聞かせてください。一緒に最適な方法を考えます。

 

まとめ

「血液ドロドロ」の正体は、多くが 脂質異常症 です。

• 自覚症状がほとんどない

• けれど、動脈硬化は静かに進む

• 心筋梗塞・脳梗塞というかたちで突然あらわれる

• 食事・運動・お薬で、確実にリスクを下げられる

 

「数値が高いと言われたけれど、症状もないし……」

そう思って放置してしまう方が、本当に多い病気です。

 

ですが、今このタイミングで動けば、5年後・10年後のご自身の血管を守ることができます。

健診結果を見て少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和 8年 5月 28日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 副院長 酒井 和也

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/