茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

失神とめまいは別物です 〜知っておきたい"気を失う"メカニズム〜

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!

 

「急に目の前が真っ暗になって、気づいたら倒れていた」

「立ち上がった瞬間、ふらっとして意識が遠のいた」

日々クリニックで患者さんと向き合っていると、こうしたご相談を受けることがあります。

ご本人もご家族も、とても不安になられる症状です。

そして多くの方が「ただのめまいでしょう」「貧血かな」と、つい軽く考えてしまいます。

 

ですが、一時的に意識を失う「失神(しっしん)」は、めまいとは別の現象です。

 

そして、その奥に大切なサインが隠れていることがあります。

今回は、この「失神」と「めまい」の違い、そして"気を失う"メカニズムについて、分かりやすくお話しします。

 



 

 

失神とめまいは、何が違うのでしょうか?

まず、ここが一番大切なところです。

「失神」と「めまい」は、似ているようで、まったく別の症状です。

 

失神とは――一時的に意識を失い、自分の力では姿勢を保てなくなって倒れてしまう状態です。

そして、しばらくすると自然に意識が戻り、後遺症を残さないのが特徴です。

 

一方のめまいは、意識ははっきりしているのに、自分や周りがグルグル回る、フワフワする、と感じる状態です。

 

意識を失うわけではありません。

つまり

• 意識がスッと消えて倒れる → 失神

• 意識はあるのに、ぐるぐる・ふわふわする → めまい

 

この区別は、原因を考えるうえでとても重要になります。

 

めまいは耳(内耳)の不調が原因のことが多いのですが、失神は"脳への血流が一瞬足りなくなった"ことで起こります。

 

なぜ人は「気を失う」のでしょうか?

失神のしくみは、実はシンプルです。

私たちの脳は、たくさんの血液(酸素)を必要としています。

 

その脳への血流が、ほんの数秒間、ぐっと足りなくなると――脳は省エネモードに入り、意識を一時的にオフにします。

これが「気を失う」という現象の正体です。

 

言いかえれば、失神は「脳を守るための、体の緊急シャットダウン」とも言えます。

そして横になると、脳に血液が戻りやすくなるため、自然と意識が回復するわけです。

 

失神には、大きく3つのタイプがあります

失神を起こす原因は、おおまかに3つに分けられます。

 

1. 反射性失神(はんしゃせいしっしん)
もっとも多いタイプです。痛み、緊張、長時間の立ちっぱなし、満員電車、採血のときなどに、自律神経の反射で血圧が急に下がって起こります。「迷走神経反射」と呼ばれることもあります。多くは命に関わらないタイプですが、倒れた際のケガには注意が必要です。

 

2. 起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)
立ち上がった瞬間に血圧が下がり、ふらついたり気が遠くなるタイプです。脱水、お薬の影響、ご高齢の方などで起こりやすくなります。いわゆる「立ちくらみ」が強く出たものとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

 

3. 心原性失神(しんげんせいしっしん)
心臓そのものに原因があるタイプです。脈が極端に遅くなったり、速くなったり、不整脈などで心臓のポンプ機能が一瞬とどこおることで起こります。数は多くありませんが、もっとも注意が必要なタイプです。

このように、同じ「失神」でも、背景はさまざまです。

 

だからこそ、「どういう状況で、どのように倒れたか」を知ることが、とても大切になります。

 

こんな失神は要注意!見逃したくないサイン

失神の多くは心配のいらないものですが、なかには早めに調べておきたいものもあります。

 

次のような場合は、できるだけ早めにご相談ください。

• 運動中や動いている最中に意識を失った

• 前ぶれ(吐き気・冷や汗・目の前が暗くなる等)がまったくなく、突然倒れた

• 動悸(どうき)や胸の痛みを感じた後に失神した

• 心臓の病気を指摘されたことがある、または若くして突然亡くなった血縁者がいる
• 倒れて頭などを強くぶつけた

これらは、心臓が関係している失神を見分けるための、大切な手がかりになります。

 

もちろん、当てはまったからといって過度に怖がる必要はありません。

ただ、「念のため調べておく」ことが安心につながります。

 

もし目の前で誰かが倒れたら

ご家族やまわりの方が失神したときの、基本的な対応もお伝えしておきます。

• まずは安全な場所で横にする

• 足を少し高くして、脳に血液が戻りやすくする

• 衣服のえり元など、しめつけている部分をゆるめる

• 意識がすぐに戻っても、しばらくは安静にする

多くの失神は、横になることで数十秒〜数分のうちに意識が戻ります。

 

ただし、なかなか意識が戻らない、けいれんがある、呼吸がおかしい、というときは、ためらわずに救急要請(119番)をしてください。

 

茅ヶ崎ファミリークリニックでできること

失神の診療で、もっとも大切なのは実は「問診」です。

どんな状況で、どんな前ぶれがあって、どのくらいで意識が戻ったか――。

この一つひとつが、原因を見分けるための重要なヒントになります。

 

当院では、丁寧な問診に加えて、血圧の評価や心電図などを組み合わせ、その方の失神がどのタイプに近いのかを一緒に整理していきます。

 

そのうえで、心臓の精密検査が必要と考えられる場合には、適切な医療機関と連携してご紹介します。

 

「たいしたことないかもしれないけれど、一度倒れたのが気になっている」

そんな段階でこそ、地域のかかりつけ医として、お役に立てればと思っています。

 

茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い

1. 「ただの立ちくらみ」と決めつけないでください
一度きりでも、意識を失ったという事実は、体からの大切なサインです。気になるときは、どうぞ遠慮なくご相談ください。

 

2. 倒れたときの状況をメモしておいてください
「何をしていたとき」「前ぶれの有無」「どのくらいで戻ったか」。ご家族が見ていた様子も含めて、覚えている範囲で構いません。診断の大きな助けになります。

 

まとめ

今回お伝えしたかったことを、最後に整理します。

• 失神とめまいは別物――失神は「一時的に意識を失う」こと

• 失神は、脳への血流が一瞬足りなくなって起こる

• 原因は反射性・起立性低血圧・心原性の大きく3つ

• 運動中・前ぶれなし・動悸を伴う失神などは、早めに相談を

• 倒れたら横にして足を上げ、回復しなければ119番

 

失神は、多くの場合は心配のいらないものです。

ですが、その区別は、ご自身だけで判断するのが難しい症状でもあります。

 

気になる症状があれば、早めに相談することが大切です。

不安や疑問は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和 8年 6月 2日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 副院長 酒井 和也

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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