茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

"食べる力"を守ることが、肺炎予防になる 〜誤嚥性肺炎と訪問診療〜

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!

 

「肺炎」と聞くと、風邪をこじらせて起こるもの、というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。

 

ですが、高齢の方の肺炎の多くは、実は"飲み込み"――嚥下(えんげ)の機能の低下が関係しています。

それが、今回お話しする「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」です。

以前このブログで取り上げた「嚥下のサイン」とも深くつながるテーマです。

 

そして記事の後半では、当院からの大切なお知らせ

――7月から訪問診療を始めます――

についてもご案内します。

 



 

誤嚥性肺炎とは?――"飲み込む力"の低下が招く肺炎

私たちは普段、食べ物や飲み物を無意識のうちに「ごっくん」と飲み込み、食道へ送り込んでいます。

このとき、のどでは気管にフタをする精巧な仕組みが働いていて、食べ物が"気管側"に入らないように守ってくれています。

 

ところが、加齢や脳卒中の後遺症、神経の病気、体力の低下などでこの仕組みがうまく働かなくなると、食べ物や唾液(だえき)が誤って気管から肺へ入ってしまうことがあります。

 

これが「誤嚥(ごえん)」です。

 

誤嚥した食べ物や唾液には口の中の細菌が含まれていて、それが肺の中で炎症を起こしたものが、誤嚥性肺炎です。

高齢の方の肺炎では、この誤嚥が関わっているケースがとても多いことが明らかになってきました。

 

こんなサインは要注意!――"むせない誤嚥"もあります

誤嚥性肺炎には、気づきにくいサインがいくつもあります。

次のような症状があれば注意が必要です。

• 食事中によくむせる、咳き込む

• 食後に声がガラガラになる

• 痰(たん)が絡みやすくなった

• 原因不明の微熱が続く

• 食事に時間がかかる、食べる量が減った

• なんとなく元気がない、ぼんやりしている

 

ここで特に知っていただきたいのが、「むせない誤嚥」=不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)の存在です。

 

のどの感覚が鈍くなると、誤嚥してもむせという防御反応が起こらず、本人もご家族も気づかないうちに、少しずつ唾液や食べ物が肺へ入り続けてしまうことがあります。

 

「熱っぽい日が続く」「最近食が細い」「元気がない」――

一見、肺炎とは結びつかないこうした変化が、実は誤嚥のサインだった、ということは決して珍しくありません。

 

誤嚥性肺炎は"繰り返す"――悪循環を断ち切ることが大切です

誤嚥性肺炎のもうひとつの特徴は、繰り返しやすいことです。

肺炎で入院すると、治療のあいだに体力や筋力が落ち、飲み込みの力もさらに低下してしまうことがあります。

 

すると退院後にまた誤嚥しやすくなり、再び肺炎に――。

• 肺炎で入院する

• 体力・嚥下機能が落ちる

• また誤嚥しやすくなる

• 再び肺炎を起こす

 

この悪循環に入ってしまうと、入退院を繰り返すうちに、少しずつ「口から食べる力」そのものが失われていきます。

だからこそ大切なのは、肺炎になってから治すこと以上に、誤嚥そのものを予防することです。

 

今日からできる誤嚥性肺炎の予防

誤嚥性肺炎は、日々のちょっとした工夫で予防の可能性を高められる病気です。

ご自宅でまず意識していただきたいのは、次の4つです。

• 口腔ケア――毎日の歯みがき・入れ歯の手入れで、口の中の細菌を減らす

• 食事の姿勢――背筋を起こし、あごを軽く引いて食べる

• 食事の形態――むせやすい方は、とろみや刻み方を工夫する

• "食べる力"の維持――よく噛む、会話する、口や舌を動かす習慣を保つ

なかでも口腔ケアはとても重要です。

 

たとえ誤嚥してしまっても、口の中が清潔であれば、肺炎にまで至るリスクを下げられると考えられています。

 

当院では「嚥下」の診療を重視しており、飲み込みが気になる方のご相談を日々お受けしています。

「最近むせやすくなった」「親の食事中の咳が気になる」――その段階でのご相談こそが、いちばんの予防になります。

 

【お知らせ】7月から、訪問診療を始めます

ここで、当院から大切なお知らせです。

茅ヶ崎ファミリークリニックは、2026年7月より、訪問診療を開始します。

 

日々クリニックで患者さんと向き合っていると、「最近、通院がしんどくなってきた」「家族の付き添いがないと来られない」というお声を、たくさんいただくようになりました。

 

通院が難しくなったとき、医療とのつながりが途切れてしまう――それが、いちばん避けたいことです。

そして実は、誤嚥性肺炎の予防と管理こそ、訪問診療が力を発揮する領域のひとつです。

 

• ご自宅での食事の様子や姿勢を、実際の生活の場で確認できる

• 体調の小さな変化(微熱・食欲低下など)を定期的な診察で早めにキャッチできる

• 肺炎の兆しがあれば、重症化する前に治療を始められる

• ご家族の介護のお悩みも、その場でご相談いただける

 

「最後まで口から食べたい」「住み慣れた家で過ごしたい」――

その想いを、地域のかかりつけ医として、ご自宅まで伺って支えていきたいと考えています。

 

訪問診療の対象となる方や詳しい内容は、公式サイトのご案内ページをご覧ください。

訪問診療のご案内はこちら(公式サイト)

「うちの場合は対象になる?」といったご質問だけでも構いません。まずはご相談ください。

 

茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い

1. 「むせ」を年のせいにしないでください
食事中のむせや食後の声の変化は、嚥下機能低下の大切なサインです。気になったら早めにご相談ください。

 

2. 毎日の口腔ケアを大切に
歯みがきと入れ歯のお手入れは、ご自宅でできるいちばんの肺炎予防です。

 

3. 通院が難しくなってきたら、ひとりで抱え込まないでください
7月から訪問診療が始まります。ご本人からでも、ご家族からでも、お気軽にご相談ください。

 

まとめ

誤嚥性肺炎は、"飲み込む力"の低下から起こる、高齢の方にとても多い肺炎です。

• むせ・声の変化・微熱・食欲低下は誤嚥のサイン

• 「むせない誤嚥」もあるため、小さな変化の段階での相談が大切

• 口腔ケア・食事の姿勢・"食べる力"の維持が予防の柱

• 当院は7月から訪問診療を開始し、ご自宅での予防と管理も支えます

 

食べることは、生きる喜びそのものです。

「食べる力」を守ることが、肺炎から命を守ることにつながります。

少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和 8年 6月 10日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 副院長 酒井 和也