こんにちは!
茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!
「ちょっと転んだだけ」――そう思っていたら、その一度の転倒が、その後の生活を大きく変えてしまうことがあります。
特にご高齢の方の場合、転倒は「たかが転倒」では済みません。
以前このブログで、フレイル(虚弱)や骨密度についてお話ししましたが、実はこの「転倒」と「骨折」は、そのすべてと深くつながっています。
今回は、転倒によって起こりやすい2つの骨折――腰椎(ようつい)圧迫骨折と、大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折について、そしてそれを防ぐためにできることを、分かりやすくお話しします。

なぜ高齢者は、転びやすく、骨折しやすいのか?
年齢を重ねると、体には少しずつ変化が起こります。
転倒しやすく、そして骨折しやすくなる背景には、主に次のようなものがあります。
• 骨粗しょう症(こつそしょうしょう)で骨がもろくなっている
• 筋力が落ちて、足が上がりにくくなる
• バランス感覚が低下し、とっさに踏ん張れない
• 目や耳の衰えで、段差や障害物に気づきにくい
• 薬の影響でふらつきやすくなることがある
特に骨粗しょう症があると、健康な人なら何ともないような軽い衝撃でも、骨が折れてしまうことがあります。
「転んでもいないのに、いつのまにか骨が潰れていた」――そんなことすら起こり得るのです。
腰椎圧迫骨折とは? ―― 気づきにくい「背骨の骨折」
腰椎圧迫骨折とは、背骨(腰の部分)が押し潰されるように変形してしまう骨折です。
尻もちをついたとき、あるいは重い物を持ち上げたときなど、ちょっとしたきっかけで起こります。
やっかいなのは、はっきりした自覚症状が出にくいことがある点です。
• 動き始めや、寝返りのときに腰が痛む
• 立ち上がるときに強い痛みがある
• 背中が丸くなり、身長が縮んだように感じる
• 痛みが軽く、「腰痛かな」と見過ごしてしまう
「ただの腰痛」と思って我慢しているうちに、骨の変形が進んでしまうこともあります。
背中が急に曲がってきた、身長が縮んだ気がする――そんな変化も、実は大切なサインなのです。
大腿骨頚部骨折とは? ―― 手術や入院につながりやすい骨折
大腿骨頚部骨折とは、足の付け根(股関節のあたり)の骨が折れてしまう骨折です。
転倒して股関節を強く打ったときに起こりやすく、多くの場合、強い痛みで立てなくなったり、歩けなくなったりします。
この骨折は、腰椎圧迫骨折とは違い、手術が必要になることが多いのが特徴です。
そして手術のためには入院が必要になり、その間どうしても体を動かせない時間が生まれます。
この「動けない時間」が、実は次にお話しする大きな問題につながっていきます。
一度の骨折が、なぜ「体の機能」を大きく奪うのか
骨折そのものは、治療によって治っていきます。
ですが、本当に怖いのは骨折そのものよりも、その後に起こる「負の連鎖」です。
骨折で痛みが強かったり、入院で安静にしていたりすると――
• 動かないことで、あっという間に筋力が落ちる
• 筋力が落ちると、立つ・歩くのがつらくなる
• 動くのが億劫になり、さらに動かなくなる
• その結果、フレイル(虚弱)が進み、介護が必要な状態に近づく
特にご高齢の方は、数日寝ているだけでも驚くほど筋力が低下します。
骨折をきっかけに歩けなくなり、そのまま寝たきりに近づいてしまう――これが、私たちがもっとも心配していることです。
だからこそ、「骨折させないこと」「転ばせないこと」が、何よりの予防になるのです。
転ばぬ先の…をもう一度 ―― 今日からできる予防
「転ばぬ先の杖」という言葉があります。
骨折を防ぐには、この昔ながらの知恵を、もう一度見直すことが大切です。予防は、大きく2つの方向から考えます。
1. 骨を守る(骨折しにくい体をつくる)
• 骨密度を一度きちんと測っておく
• カルシウム・ビタミンD・たんぱく質をしっかりとる
• 必要に応じて、骨粗しょう症の治療を行う
2. 転ばない(そもそも転倒しない)
• 家の中の段差や、つまずきやすい敷物を見直す
• 廊下や階段、トイレに手すりをつける
• 足元を照らす明かりを増やす
• 無理のない範囲で、足腰の筋力を保つ運動を続ける
当院では、骨密度の検査を行い、骨粗しょう症のリスクを一緒に確認することができます。
また、この7月から訪問診療を始めました。ご自宅での療養中で通院が難しい方、転倒が心配な方についても、生活の場に伺いながら健康を支えていくことができます。
茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い
1. 一度、骨密度を測ってみてください
自分の骨がどんな状態か、まず知ることが予防の第一歩です。特に閉経後の女性、65歳以上の方はおすすめです。
2. 「たかが腰痛」で我慢しないでください
急に強くなった腰の痛みや、背中が曲がってきた変化は、圧迫骨折のサインのことがあります。早めにご相談ください。
3. 転んだら、痛みがあれば必ず受診を
「歩けているから大丈夫」と思っても、骨にひびが入っていることがあります。転倒後の痛みは、遠慮なくご相談ください。
まとめ
転倒による骨折は、決して「たかが転倒」では済みません。
• 腰椎圧迫骨折は、軽い衝撃でも起こり、気づきにくい
• 大腿骨頚部骨折は、手術・入院につながりやすい
• 骨折後の「動けない時間」が、筋力低下・フレイル・介護へとつながる
• 骨を守り、転ばない環境をつくることが、何よりの予防になる
「もう歳だから」と諦める必要はありません。
骨と足腰は、今日からの心がけで守っていくことができます。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和 8年 7月 7日
茅ヶ崎ファミリークリニック
副院長 酒井 和也
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/