こんにちは!
茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!
今年の7月から、当院では訪問診療(ほうもんしんりょう)を本格的にスタートしました。
おかげさまで少しずつご相談をいただくようになったのですが、その中でとても多いのが、このご質問です。
「先生、訪問診療って……やっぱりお金、かかりますよね?」
ご本人やご家族が、通院が難しくなってきたとき。「そろそろ自宅で診てもらえたら」と思っても、費用が心配で最初の一歩をためらってしまう――そんな声を、私は診療の現場で本当によく耳にします。
そこで今回は、意外と知られていない「訪問診療の費用のはなし」について、できるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。

そもそも訪問診療とは?往診とはちょっと違います
まず、言葉の整理からです。
訪問診療とは、通院が難しくなった患者さんのご自宅や施設に、医師が"計画的に・定期的に"うかがって診察する仕組みのことです。
よく混同されるのが「往診(おうしん)」ですが、こちらは少し違います。
• 訪問診療――あらかじめ計画を立てて、定期的に(多くは月に2回など)うかがう
• 往診――具合が急に悪くなったときに、その都度うかがう
訪問診療は、いわば"通院の代わり"として続けていく医療です。血圧やお薬の管理、体調の変化のチェックなどを、ご自宅で継続して行っていきます。
「訪問診療は高そう」に見えてしまう理由
「高そう」というイメージには、実は理由があります。
それは、訪問診療が"1回きり"ではなく、月に何度か・継続してうかがう医療だからです。
1回あたりの金額だけを見ると、「先生が家まで来てくれる」というぶん、外来の窓口とは料金の仕組みが違います。さらに、定期的にうかがう費用や、24時間の連絡体制を整えるための費用などが加わることもあります。
これらを月単位で合計すると、パッと見の数字が大きく感じられ、「やっぱり高いのでは」という印象につながりやすいのです。
ですが――ここでお伝えしたいのは、"見えている数字"と"実際にお支払いいただく金額"は、大きく違うということです。
実際の自己負担は、こう決まります
訪問診療は、外来の診察と同じく公的医療保険が使えます。
ですので、実際に窓口でお支払いいただくのは、かかった医療費の全額ではなく、その一部だけです。
• 1割負担の方――かかった費用の1割
• 2割・3割負担の方――それぞれの割合ぶん
高齢の方の多くは1割負担ですので、「表向きの金額」よりも実際のお支払いはぐっと少なくなります。
さらに大切なのが、次にお話しする"上限"の仕組みです。
「これ以上は増えない」――負担には上限があります
医療費が心配な方に、ぜひ知っていただきたい制度があります。
それが「高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)」です。
これは、1か月にお支払いする医療費が一定の上限を超えないように守ってくれる仕組みです。上限額は、年齢や所得によって一人ひとり変わります。
つまり――訪問診療をどれだけ受けても、1か月の負担が"青天井"にふくらむことはない、ということです。
加えて、
• お住まいの状況や病気の種類による公的な助成
• 介護保険との組み合わせ
• 施設にお住まいの場合の取り扱い
など、使える制度は人によってさまざまです。「自分の場合はいくらになるのか」は、状況をうかがったうえで、私たちが一緒に整理してご説明します。
「入院」や「通院の付き添い」と比べてみると
費用を考えるときは、"何と比べるか"も大切です。
たとえば、通院を続ける場合。ご本人が動くのが大変になってくると、タクシーや介護タクシーの費用、そしてご家族が仕事を休んで付き添う負担が、じわじわと積み重なっていきます。
あるいは入院の場合。医療費だけでなく、差額ベッド代や日用品など、目に見えにくい出費もあります。何より、住み慣れたお家を離れることになります。
訪問診療は、こうした"見えにくい負担"を減らしながら、住み慣れた場所で医療を受け続けられる選択肢です。
金額の数字だけでなく、「ご家族全体の負担」という視点で見ていただけたらと思います。
茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い
1. 費用が不安なときこそ、まずご相談ください
「いくらかかるか分からないから」と相談をあきらめてしまうのが、いちばんもったいないことです。おおよその見通しは、事前にご説明できます。
2. ご本人の状況を教えてください
保険の負担割合、介護保険の有無、お住まいの状況などによって、費用は変わります。分かる範囲で構いませんので、お聞かせください。
3. 「まだ早いかな」と思う段階でも大丈夫です
通院が少しずつ大変になってきた――その"少し前"のご相談が、いちばん余裕をもって準備できます。
まとめ
訪問診療の費用について、今日お伝えしたかったことは、この3つです。
• 訪問診療にも公的医療保険が使え、お支払いは費用の一部だけ
• 高額療養費制度などで、1か月の負担には上限がある
• 「入院」や「通院の付き添い」と比べると、見えにくい負担を減らせる場合も多い
「高そうだから」と、大切な選択肢を最初から外してしまう必要はありません。
ご本人が、住み慣れたお家で、安心して過ごせること。それを費用の面からも一緒に考えるのが、私たちの役割だと思っています。
訪問診療のこと、費用のこと、どんな小さなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和 8年 7月 9日
茅ヶ崎ファミリークリニック
副院長 酒井 和也
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/