こんにちは!
茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、副院長の酒井です!
突然ですが、皆さんは毎日飲んでいるお薬の数を、数えたことはありますか?
血圧のお薬、糖尿病のお薬、胃薬、眠れないときのお薬、整形外科でもらった痛み止め……。
気がついたら、朝だけで手のひらいっぱい――という方も、実は少なくありません。
日々クリニックで患者さんと向き合っていると、
「こんなにたくさん飲んで大丈夫なのかな」
「でも、先生に出されたものだから……」
そんな声を耳にすることがあります。
今回は、お薬が増えすぎることで起こる「ポリファーマシー」について、分かりやすくお話しします。

ポリファーマシーってなに?
ポリファーマシーとは、「ポリ(多い)」と「ファーマシー(薬)」を組み合わせた言葉です。
ただし、大切なのは「数が多いこと=悪いこと」ではないという点です。
持病がいくつもあれば、必要なお薬が増えるのは自然なこと。
問題になるのは、
• 今の体の状態には、もう必要なくなっているお薬がある
• 同じような働きのお薬が重なっている
• お薬同士の飲み合わせで、副作用が出やすくなっている
• 数が多すぎて、きちんと飲めていない
――こうした「必要以上に多く、害が出ている、または出やすい状態」のことを、ポリファーマシーと呼んでいます。
高齢の方では、お薬が6種類以上になると、副作用などのトラブルが起こりやすくなるという報告もあります。
もちろん数だけで決まるものではありませんが、ひとつの目安として知っておいていただければと思います。
なぜ、お薬はどんどん増えていくの?
お薬が増えていくのには、いくつか理由があります。
1. いくつもの医療機関にかかっている
内科、整形外科、眼科、泌尿器科……。
それぞれの先生が、それぞれの専門で必要なお薬を出します。
全体を見渡す人がいないと、知らないうちに数が増えていきます。
2. 症状が出るたびに、お薬が「足されて」いく
「眠れない」「便秘がある」「胃がもたれる」――。
ひとつひとつは大事な症状ですが、そのたびに1種類ずつ増えていくことがあります。
3. 副作用を、別のお薬で抑えている(処方カスケード)
たとえば、痛み止めで胃が荒れたので胃薬を追加。
その痛み止めで血圧が上がったので、血圧のお薬を追加――。
このように、副作用が「新しい症状」と思われて、お薬が連鎖的に増えていくことを「処方カスケード」と呼びます。
これは、どの医療機関でも起こり得ることです。
こんなことが起こりやすくなります
お薬が多くなると、次のようなことが起こりやすくなります。
• ふらつき、転びやすくなる
• 物忘れが増える、ぼんやりする
• 夜中に急に混乱する(せん妄:せんもう)
• 食欲が落ちる、口が渇く
• 便秘がひどくなる
• 飲み忘れ・飲み間違いが増える
特に「最近、足元がおぼつかない」「なんだか元気がない」といった変化は、
「年のせいかな」と見過ごされがちです。
ですが実は、お薬の影響が隠れていることもあるのです。
高齢の方にとって、転倒は骨折や寝たきりのきっかけにもなります。
お薬を見直すことが、転倒予防につながる場合もあります。
「じゃあ、やめてしまおう」はちょっと待ってください
ここまで読んで、「お薬を減らしたほうがいいのかな」と思われた方もいるかもしれません。
ですが――自己判断で急にやめることは、絶対に避けてください。
お薬の中には、急にやめると血圧が大きく上がったり、
体調を崩したりするものがあります。
また、飲み続けることでしっかり病気を抑えているお薬もたくさんあります。
大切なのは、「減らすこと」そのものではなく、
「今のあなたにとって本当に必要なお薬を、一緒に見極めること」です。
茅ヶ崎ファミリークリニックでできること
当院は、地域のかかりつけ医として、お薬の「交通整理役」でありたいと考えています。
• お薬手帳を見ながら、他院で出ているお薬も含めて全体を確認します
• 今の体の状態に合わせて、優先順位を一緒に考えます
• 見直しが必要な場合は、少しずつ、様子を見ながら調整します
• 必要に応じて、他の医療機関の先生や薬局の薬剤師さんとも連携します
また、訪問診療では、ご自宅で実際にお薬がどのように管理されているかを拝見できます。
飲みきれずに残っているお薬(残薬:ざんやく)が見つかることも、決して珍しくありません。
「朝・昼・晩がバラバラで飲みにくい」
「粒が大きくて飲み込みづらい」
そんなお困りごとも、飲む回数をまとめたり、形を変えたりと、工夫できることがあります。
お薬を整理したことで、ふらつきが減ったり、食事がおいしく感じられるようになったり――
そうした変化は、決して特別なことではありません。
茅ヶ崎ファミリークリニックからのお願い
1. お薬手帳は1冊にまとめましょう
病院ごと、薬局ごとに手帳が分かれていると、全体が見えなくなってしまいます。
どの医療機関でも、同じ1冊を見せてください。
2. 受診のときは、飲んでいるお薬を全部持ってきてください
市販薬やサプリメント、漢方も含めて、袋ごとお持ちいただいて大丈夫です。
実物を見ることで、分かることがたくさんあります。
3. 「飲めていない」ことも、遠慮なく教えてください
飲み忘れや残っているお薬があっても、怒ったりはしません。
むしろ、それがお薬を見直す大切なきっかけになります。
4. ご家族の方も、気になる変化があれば教えてください
「最近よく転ぶ」「ぼんやりしている時間が増えた」など、
ご家族だからこそ気づけるサインがあります。
まとめ
お薬は、私たちの体を助けてくれる大切な味方です。
ですが、多すぎると、かえって体の負担になることもあります。
• ポリファーマシーは「数」より「必要かどうか」が大切
• ふらつきや物忘れの陰に、お薬の影響が隠れていることがある
• 自己判断でやめず、まずはかかりつけ医に相談を
「このお薬、まだ必要なのかな?」
そんな小さな疑問からで構いません。
茅ヶ崎ファミリークリニックでは、患者さま一人ひとりに合ったお薬のあり方を一緒に考えます。
どうぞお気軽に、お薬手帳を持ってご相談ください。
0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和 8年 9月 24日
茅ヶ崎ファミリークリニック
副院長 酒井和也
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
https://chiga-fami.clinic/