茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

「いびき」を放っておくと記憶力にも影響?

 

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!

 

当院は副院長の酒井先生が早めの夏休みから戻ってこられ、クリニックも活気を取り戻しております。

 

また月末には当院全体で1週間のお休みを頂きますので、皆様よろしくお願いします。(訪問診療部門は急変時対応含めてOpenします。)

 

ところで今日は、最近当院にも非常に問い合わせの多い、睡眠時無呼吸の新しいお話を、最新の論文から紹介したいと思います。

 

睡眠時無呼吸症候群と認知症の新しい研究

「しっかり寝たはずなのに、朝から疲れている」

「昼間、どうしても眠くなる」

「家族から、寝ているときに呼吸が止まっていると言われた」

そんな方に一度考えていただきたいのが、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:睡眠時無呼吸症候群)です。

 

睡眠時無呼吸というと、

「いびきがうるさい病気」

というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

 

しかし最近では、高血圧や心臓病などとの関係だけでなく、記憶力や将来の認知症との関係も注目されています。

 

2026年6月、医学誌『Alzheimer’s & Dementia』に、オーストラリア・モナシュ大学の研究グループによる興味深い研究が発表されました。(PubMed)

 

今回はこの研究を、できるだけ分かりやすくリアルにご紹介します。

 

 

そもそも「睡眠時無呼吸」って何?

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、眠っている間にのどの空気の通り道が狭くなり、

「呼吸が止まる、または弱くなる」ことを何度も繰り返す病気です。

 

呼吸がうまくできなくなると、体の中の酸素が低下したり、脳が何度も目覚めたりして、睡眠が細切れになります。

 

本人は眠っているため、意外と気付いていません。

「自分ではよく寝ているつもり」

なのに、実際には脳や体が十分に休めていないことがあるのです。

 

 

今回は約2,800人を調査

今回の研究では、40~70歳の2,795人が対象になりました。

平均年齢は約56歳で、認知症などの明らかな認知機能障害がない人たちです。

 

研究者たちは、睡眠時無呼吸がある人と、ない人で、記憶力や将来の認知症リスクに違いがあるのか? これを調べました。

 

2,795人のうち、睡眠時無呼吸と診断されている人は195人(約7%)でした。

 

 

結果① 睡眠時無呼吸がある人は「記憶力」が低かった

 

研究では、睡眠時無呼吸がある人は、ない人と比較して記憶のテストの成績が低いという結果になりました。

 

さらに興味深いのが「治療を受けているかどうか」です。

 

治療を受けていない睡眠時無呼吸の人では、記憶力の低下がより目立っていました。

一方、治療を受けている人では、睡眠時無呼吸がない人との明確な差は認められませんでした。

 

ただし、ここは非常に重要です。

今回の研究だけから、

「睡眠時無呼吸を治療すれば認知症を予防できる」

と証明されたわけではありません。

 

あくまで「そのような関連がみられた」という研究結果です・・・・。

 

結果② 将来の認知症リスクも高かった

研究では「CAIDEスコア」という指標も調べています。

 

これは簡単にいうと、年齢や血圧、コレステロール、肥満、運動習慣などから、将来の認知症リスクに関係する要素を評価するものです。

 

睡眠時無呼吸がある人では、このCAIDEスコアも高い傾向が認められました。(PubMed)

なぜでしょうか。

 

実は睡眠時無呼吸の人には、肥満、高血圧、高コレステロール、運動不足

などを同時に抱えている方が少なくありません。

 

そして、これらはそれぞれ認知症にも関係することが知られています。

つまり今回の研究から見えてくるのは、「睡眠」と「血管の健康」と「脳の健康」は、別々の問題ではないということです。

 

なぜ睡眠時無呼吸が脳に影響するの?

寝ている間に何度も呼吸が止まると、酸素が下がる → 呼吸が戻る → また止まる

ということを一晩に何度も繰り返します。

 

さらに、呼吸を再開させるために脳が何度も小さく覚醒するため、深く安定した睡眠が妨げられます。

 

研究論文では、こうした繰り返す低酸素状態や睡眠の分断が、酸化ストレス、脳血管への影響などを介して脳機能に関係する可能性が議論されています。

 

簡単に言えば、

「寝ているのに、脳が十分に休めていない状態が毎晩続く」

と考えるとイメージしやすいと思います。

 

「いびきだけ」だからと放置しない

睡眠時無呼吸で大切なのは、自分では気付きにくいことです。

 

特に、

  • 大きないびきを指摘される
    •  寝ている途中で呼吸が止まっていると言われる
      • 朝起きても疲れが残っている
        •  朝、頭が重い・頭痛がする
          • 日中に強い眠気がある
            • 会議中や運転中などに眠くなる
              • 高血圧がなかなか改善しない
                • 最近、集中力や物忘れが気になる

といった方は、一度睡眠時無呼吸について調べてみてもよいでしょう。

 

睡眠時無呼吸は「調べることができる病気」です

ここが大切です。

 

睡眠時無呼吸は、症状だけで「たぶんそうだろう」と判断するのではなく、睡眠中の呼吸状態を検査して調べることができます。腕時計型の計測器を当院では貸し出しています。

 

そして診断された場合には、重症度や患者さんの状態に応じて、生活習慣や体重の改善、CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)、マウスピースなどの治療方法があります。

 

つまり、睡眠時無呼吸は、

「見つけて、評価して、必要なら治療できる病気」

なのです。

 

参考文献
Abdelmessih GT, et al. Associations of self-reported obstructive sleep apnea with cognition and dementia risk in cognitively unimpaired middle-aged adults. Alzheimer’s & Dementia. 2026;22(7):e71553. doi:10.1002/alz.71553. (PubMed)

 

 

 

当院では、これからも皆様に役立つ健康情報をリアルにタイムリーにお伝えしていきます。

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。

 

お気軽にどうぞ。

 

令和8年 8月18日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
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