茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

食後血糖値のしくみ 〜ホルモンの働きとその変化〜 茅ヶ崎ファミリークリニック


こんにちは。
茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です。

 

「食後すぐに眠くなる…」「お腹がすいていないのにまた甘いものが欲しくなる」――
こんな経験はありませんか?


それ、実は「食後血糖値」と「ホルモン」の働きが深く関係しているかもしれません。

 

本日の当院ブログでは、昨日に少し関係する「食後に血糖値がどう動くのか」「その時、体内でどんなホルモンが働いているのか」について、できるだけわかりやすく解説していきます。

 

血糖コントロールが気になる方、糖尿病予防をしたい方、ダイエットや健康に興味のある方もぜひご一読ください。

 

1. 食後、血糖が上がるとまず分泌される「インスリン」

食事を摂取すると、特に炭水化物が消化・吸収され、血中のブドウ糖(血糖値)が上昇します。これを感知した膵臓のβ細胞が、即座にインスリンを分泌します。

インスリンの主な作用:

  • 筋肉や脂肪細胞でのグルコース取り込み促進(GLUT4トランスポーターの細胞膜移動)
  • 肝臓でのグリコーゲン合成促進
  • 糖新生・脂肪分解の抑制
  • タンパク質合成の促進
  • 食欲の抑制(脳へのシグナル)

このインスリンの作用により、血糖値はピーク後2〜3時間で安定化します。

 

 

2. インスリンと拮抗する「グルカゴン」

同じ膵臓でも、α細胞から分泌されるホルモンが昨日も説明した「グルカゴン」です。

 

本来、空腹時や低血糖時に分泌されるもので、インスリンと逆方向に働きます:

 

  • 肝臓でのグリコーゲン分解促進 → グルコース放出
  • 糖新生の促進

 

食後でも分泌されるの?

 

実は、食後にグルカゴンが適度に抑制されないケース(2型糖尿病やインスリン抵抗性)では、血糖が過剰に上昇しやすくなります。

 

この「グルカゴンの抑制不全」は、最近の糖尿病研究でも重要な焦点です。

 

3. インスリン分泌をサポートする腸管ホルモン「インクレチン」

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とGIP(胃抑制ポリペプチド)

食後、特に糖質や脂質が小腸に届くと、腸管内分泌細胞(L細胞・K細胞)からインクレチンが分泌されます。

 

主な作用:

ホルモン

主な働き

GLP-1

インスリン分泌促進、グルカゴン抑制、胃排出遅延、食欲抑制

GIP

インスリン分泌促進(主に正常時)、脂肪組織への栄養取り込み促進

 

これらの作用は血糖依存的で、高血糖時にだけ働くため、低血糖のリスクが少ないという利点があります。

糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬)にもこの経路が活用されています。

 

4.    実は「アミリン」も忘れてはいけない

 

インスリンと同時に膵β細胞から分泌されるホルモンがアミリンです。これ実はまだあまり知られていませんが、重要な働きがあります。

  • 胃の排出速度を遅らせる(満腹感の持続)
  • 食後の血糖上昇を緩やかにする
  • 中枢に働きかけて食欲を抑える

 

カナダCalgary大学のDavid C W Lau氏らは、肥満や過体重の人に長時間作用型アミリンアナログのcagrilintideを投与して、GLP-1受容体作動薬のリラグルチドやプラセボと比較し、2021年11月のLancetに結果を公表しています。

 

このように近年注目されるアミリン製剤は、一部の糖尿病治療にも使用される予定であり、減量治療への応用とあわせ、期待が持たれます。

 

5. ストレスホルモンの影響:コルチゾールとアドレナリン

食後に限らず、ストレスや炎症、睡眠不足などによって血糖値が上がる背景には、これらのホルモンが関係しています。

ホルモン

主な作用

コルチゾール

糖新生促進、インスリン抵抗性の助長、長期的な血糖上昇

アドレナリン

グリコーゲン分解促進、インスリン分泌抑制、血糖上昇

慢性的なストレスや睡眠障害は、血糖値にとって“見えない敵”とも言えます。

 

 

6. 食後のホルモン分泌の流れ(時系列)

時間経過

ホルモン変化

主な作用

食後0

インスリン分泌開始

血糖上昇への初期対応

食後1530

GLP-1GIP分泌、アミリン作用

血糖上昇の抑制、胃排出の遅延

食後1時間

インスリンピーク、グルカゴン抑制

血糖値の安定化へ

食後23時間

血糖正常化、インスリン・インクレチン減少

ホルモン作用も徐々に終息

 

 

まとめ

食後血糖値のコントロールには、複数のホルモンが「協調的に、しかもタイミングよく」働くことが不可欠です。
インスリンだけではなく、グルカゴン、インクレチン、アミリン、ストレスホルモンなど、あらゆる内分泌ホルモンが関与しています。

このバランスが崩れたとき、糖尿病、肥満、インスリン抵抗性、動脈硬化などにつながっていくのです。

 

当院(茅ヶ崎ファミリークリニック)では、ホルモンと血糖のメカニズムに注目したアプローチで、糖尿病や生活習慣病の予防・管理に取り組んでいます。


最新の治療薬や食事・運動療法のご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

それでは、0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和 7年4月7日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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