茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!
おかげさまで、当院は4月開業にもかかわらず、すでに非常に多くの初診患者様にご利用いただいております。
その中には妊娠中のお母様方も多く含まれており、さらにその中には喘息治療中の方もたくさんおられます。
本日はシリーズ第6段、喘息と妊娠について解説を行いたいと思います。
妊娠中の女性が気管支喘息を患っている場合、母体と胎児の健康に大きな影響を与える可能性があります。喘息は気道が炎症を起こし、狭くなって息苦しさや咳、喘鳴を引き起こす病気です。
妊娠中はホルモンバランスの変化、免疫機能の変動、および循環血液量の増加などが生じるため、喘息の症状が悪化するケースもあれば、逆に改善するケースもあります。
1. 喘息が胎児に与える影響
喘息が適切にコントロールされていない場合、母体への酸素供給が低下するため、胎児への酸素供給も減少します。これにより、以下のようなリスクが高まる可能性があります。
低出生体重児
早産
子宮内発育遅延(IUGR)
新生児仮死(出生直後の呼吸困難)
特に、重症の喘息発作は胎児の健康に深刻な影響を与えます。妊娠中の母親の喘息が重症化すると、早産のリスクが約2倍に増加すると報告されています。
母体への影響
妊娠中の喘息は母体にもリスクをもたらします。重症の喘息発作が起こると、母体の酸素供給が不十分になるため、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まる可能性があります。また、妊娠中の免疫機能の変動によって喘息症状が悪化することがあり、特に妊娠中期から後期にかけて症状の変動が起こりやすいです。
2. 妊娠中の喘息管理
薬物療法
妊娠中の喘息管理において重要なのは、母体と胎児の安全性を確保しながら症状を適切にコントロールすることです。喘息薬の多くは妊娠中でも比較的安全とされていますが、薬剤の選択には注意が必要です。
吸入ステロイド:もうこれについては当ブログで説明し尽くした感がありますね。妊娠中にもこちらは喘息管理の基本的な治療薬であり、気道の炎症を抑える効果があります。吸入ステロイドは全身への影響が少ないため、妊娠中でも比較的安全に使用できます。
β2刺激薬:発作時に使用する薬で、気管支を拡張して症状を緩和します。短時間作用型と長時間作用型がありますが、短時間作用型は緊急時の使用に適しています。
これらの薬剤は医師の指示のもとで適切に使用することが重要です。喘息症状を無理に我慢することで、母体と胎児の健康リスクが高まるため、適切な薬物療法によるコントロールが求められます。
環境管理とトリガーの回避
妊娠中の喘息管理において、薬物療法だけでなく環境管理も重要です。喘息のトリガー(発症原因)となる要因を避けることで症状の悪化を防ぐことができます。特に以下の要因に注意しましょう。
ダニ、カビ、ペットの毛などのアレルゲン
たばこの煙や大気汚染
風邪やインフルエンザなどの感染症
定期的な医師の診察を受けながら、適切な環境管理を心がけることで、喘息症状の悪化を防ぎやすくなります。
3. 妊娠中の喘息の予後と分娩
妊娠中の喘息のコントロールが良好であれば、ほとんどの女性は正常な分娩を迎えることができます。実際、適切な管理を行うことで、母体と胎児のリスクを最小限に抑えることが可能です。
分娩時の注意点
喘息を持つ妊婦は、分娩時にも適切なケアが必要です。分娩中は気道が狭くなりやすいため、吸入薬の使用や酸素療法が必要となる場合があります。また、無痛分娩や帝王切開の際にも、喘息に配慮した麻酔方法を選択することが重要です。
4. まとめ
妊娠と喘息は深い関係があり、妊娠中のホルモン変化や免疫変動が喘息症状に影響を与えることがあります。適切な薬物療法や環境管理を行うことで、母体と胎児へのリスクを最小限に抑えることが可能です。妊娠中に喘息を持つ女性は、定期的な医師の診察と適切な治療を受けながら、安全な妊娠期間を過ごすことが重要です。いずれにしても心配になることは多いでしょうから、妊娠中は特に、当院にお気軽にお問い合わせください。
0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和6年10月2日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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