茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

シリーズ・喘息⑦ 喘息のリスクファクター:自然災害

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!

 

 まだまだ続きます。シリーズ・喘息、本日は現在の日本では最も深刻で考えなければならないテーマである自然災害と、喘息の関係について説明したいと思います。今年も年始からの能登半島の地震、その後に直撃した豪雨に見舞われた多くの被災された方々にお見舞い申し上げ、茅ヶ崎の地より、当院でもこのテーマをこころして真剣に扱いたいと思います。

 

 長引く咳、喘息の発作はさまざまな要因によって誘発されることがありますが、その中でも自然災害は特に注目すべきリスクファクターです。地震、台風、森林火災などの災害は、喘息患者にとって症状を悪化させる要因となることが多いです。

 

 喘息と災害の関係について、災害が喘息発作を引き起こすメカニズムや影響、さらには対応策について考察します。

 

災害が喘息に与える影響

1 大気汚染
災害が起こると、特に森林火災や台風、砂嵐などによって大気汚染が一時的に悪化します。例えば、森林火災では大量の煙や有害物質が空気中に放出され、それが気道を刺激し、喘息患者の症状を急激に悪化させることがあります。特に微細粒子状物質(PM2.5)は、肺に深く入り込むため、喘息患者にとって非常に危険です。台風や暴風雨後には、カビや細菌が増殖し、アレルギー反応を引き起こすリスクが高まります。これらの汚染物質は、喘息患者にとって発作を誘発する大きな要因となり得ます。

 

2 ストレス
災害時は、避難や被害に対する不安やストレスが増大します。ストレスは喘息発作を引き起こす要因の一つとして広く知られており、災害時には精神的な負担が大きくなるため、喘息の症状が悪化しやすくなります。また、災害によって生活リズムが乱れ、適切な薬の使用が困難になることも、発作を誘発するリスクを高めます。

 

3 医療サービスの制約
災害時には医療インフラが破壊されることが多く、喘息患者が適切な医療サービスを受けることが難しくなる場合があります。病院へのアクセスが制限されたり、薬局が閉鎖されたりすることがあり、必要な治療を受けられない状況が生まれます。特に、吸入薬やステロイドの供給が途絶えると、症状のコントロールが難しくなり、喘息発作が発生するリスクが増大します。当院では、災害時に電源が落ちていてもなるべく開院する予定です。以前のブログでは、相模川が氾濫したとしてもゴムボートで出勤する決意をお伝えしました。

 

災害における喘息管理の重要性

1 避難計画の策定
喘息患者が災害時に安全を確保するためには、事前の準備が不可欠です。特に、避難場所での空気環境や医療支援体制について考慮し、必要な薬や医療機器(吸入器など)を携帯することが推奨されます。自治体や医療機関が協力し、喘息患者向けの特別な避難計画や対応を整備することが重要です。特に吸入器など、災害時の予備をお持ちになりたければ、外来時にお知らせください。

 

2 災害時の大気質モニタリング
大気質の状況をリアルタイムで把握することは、喘息患者にとって非常に有益です。森林火災や砂嵐などが発生した際に、どの地域で大気汚染が深刻化しているかを正確に知ることができれば、避難の判断が迅速に行えます。iPhoneやスマートフォンのアプリ、インターネットを通じて大気質モニタリングの情報を提供するサービスが増えており、こうしたツールを積極的に利用することが良いです。

 

3 精神的なケア
災害後の精神的なストレスは喘息患者にとって特に危険であり、心理的な支援も重要です。ストレス管理やリラクゼーション法を活用することで、喘息の発作リスクを低減できる可能性があります。また、先ほど触れたように、予備の吸入器などの日頃からの準備で、災害後に余裕を感じてもらうこともかなり意味があると考えます。

 

まとめ

喘息と災害の関係は密接であり、災害が喘息の発作を引き起こす要因として作用することが多くあります。大気汚染、ストレス、医療サービスの制約など、さまざまな要素が喘息患者にとって深刻な影響を与えるため、事前の準備と対応が重要です。喘息患者が災害時に安心して過ごせる環境を整備し、適切な医療支援と情報提供がなされれるよう、ここ茅ヶ崎市周辺では当院も全力で取り組みたいと思います。それでは!

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和6年10月3日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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