茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

乳幼児嘔吐下痢症のリアル:茅ヶ崎ファミリークリニックから提言です。

こんにちは。茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長です。

 

小児に多い感染症解説、今日は10日目、乳幼児嘔吐下痢症です。

 

乳幼児の嘔吐や下痢は、特に注意が必要な症状です。これらの症状は、多様な原因によって引き起こされる可能性がありますが、主に感染性胃腸炎が原因であることが多いです。ここでは、乳幼児における嘔吐と下痢の原因、診断、治療、予防について説明します。

症状

乳幼児では多くは突然吐き始め、続いて下痢(クリーム色~白色)になります。痙攣を合併することもあります。嘔吐下痢による痙攣は群発(小さな痙攣を1日に何回も繰り返す)することが有りますので注意が必要です。合併症がなければ、1週間くらいでよくなります。

 

原因

乳幼児における嘔吐と下痢の最も一般的な原因は、ウイルス感染によるものです。特にロタウイルス、アデノウイルスやノロウイルス(3/23当ブログ参照)がよく知られています。これらのウイルスは、感染力が非常に高く、特に集団生活をしている乳幼児の間で迅速に広がることがあります。

他にも、細菌性の感染症や寄生虫、食中毒、あるいはアレルギー反応などが原因で嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。また、乳幼児では、消化器系の成熟が不完全なため、特定の食品や飲料に対して敏感に反応しやすいこともあります。

診断

乳幼児が嘔吐や下痢の症状を示した場合、まずは詳細な医療面接(アナムネーシス)と身体診察が行われます。症状の程度、持続時間、その他の症状(発熱、脱水症状など)について評価します。必要に応じて、血液検査、便の検査、場合によってはウイルスや細菌の特定を目的とした検査が行われることもあります。

お家での対処法について

 

吐いたときの対処

1. 嘔吐のあと、約1時間は飲んだり食べたりさせないで、安静を心がけましょう。

2. 嘔吐がないようであれば、お茶やスポーツドリンクなどを少しずつ飲ませてみます。1回量を少なめに数十ml飲ませてみます。これを、30分くらい間隔をあけ、吐かないように数回繰り返します。

3. 水分が安定してとれるようでしたら、少しずつ食べさせてみます。食欲が無いのに無理に食べさせる必要は有りません。おかゆ・うどんなどを食べさせます。油もの、卵製品、乳製品は避けましょう。

 

下痢の時の対処

下痢の症状として最も注意をしなければいけないのは、脱水症です。嘔吐とどうように、腸管を休ませることと、脱水を防ぐことが大事です。上記の通りの少量のお茶、スポーツドリンクなどを少しずつ与えてください。ミルクはなるべくひかえてください。

ジュース類では、ミカン、オレンジなどの柑橘類は下痢が長引くため、ひかえましょう。

 

●こんな時は早めの受診を

嘔吐が頻回で、水分が取れない状態が長く続くと脱水症を起こします。

そのようなときは点滴が必要です。

 

特に以下のときは早めの受診を・・・・

①上記の飲ませ方をしても吐き続けるとき

②元気がなく、顔色が悪いとき

③口の中や唇が乾いて、おしっこが少ないとき

 

治療

治療は、原因となっている病因に依存しますが、多くの場合、特に乳幼児においては、脱水を防ぐための支持療法が中心となります。軽度から中等度の脱水であれば、経口補水液(ORS)による補水療法が推奨されます。重度の脱水や、経口補水が困難な場合は、入院しての点滴による補水療法が必要になることがあります。

感染性胃腸炎の場合、特に細菌性のもので抗生物質が効果的な場合を除き、抗生物質は通常推奨されません。ウイルス性の場合は、特に対症療法としての治療が中心となります。

予防

ロタウイルスに対するワクチンが存在し、乳幼児期に予防接種を受けることで、重度のロタウイルス感染症を予防することができます。また、手洗いの徹底や、食品の安全な取り扱い、乳幼児が使用する物品の清潔を保つことなど、基本的な衛生管理により感染のリスクを低減することができます。

 

 それでは今日はこの辺まで。これら症状にピンとくる方、当院にてお気軽にご相談下さい。予約なしでも結構です。発熱ある場合は、受付にお申し出下さい。

 

令和6年3月28日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
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