茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

ノロウイルス感染のリアル、トイレが高リスク!!茅ヶ崎ファミリークリニックの提言


こんにちは。
茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長です。

 

小児に多い感染症解説、今日もテンポよくまいりますね。

今日はノロウイルス感染症です。これ、僕が東京の大学病院に勤務だった10年ほど前、季節外れの夏に病棟で大ブレイクを起こしてしまいまして。大変な3週間ほどを過ごした覚えがあります。新規入院がストップして、入院患者さんの発熱にビクビクしながら、タイミング悪く二日酔いで病院のトイレで嘔吐した研修医がおり、ノロ感染で嘔吐した可能性もあるため、その嘔吐後の後始末と消毒を病棟長の先生と泣きそうになりながらした覚えがあります。

ですから、僕にとってのノロウイルスは大人にも大変うつりやすく、冬の寒さや2枚貝など関係なくても十分に流行りやすい大変な病気という印象なのですが、改めて一般的な観点、小児科の観点でまずは解説したいと思います。

 

ノロウイルス感染症は、ノロウイルスによって引き起こされる急性胃腸炎です。ノロウイルスは非常に感染力が強く、食品や水の汚染、または感染した人との直接接触を通じて簡単に広がります。感染すると、下記のような症状が発生することが一般的です。

主な症状

  • 嘔吐: 急に強い嘔吐感が起こることが多いです。
  • 下痢: 水っぽい下痢が特徴で、しばしば急激に始まります。
  • 腹痛: 激しい腹痛が伴うことがあります。
  • 吐き気: 嘔吐に先立って、または嘔吐と同時に吐き気を感じることがあります。
  • 発熱: 軽度から中程度の発熱が見られることがあります。
  • 筋肉痛: 全身の筋肉痛が発生することもあります。

伝播方法

  • 経口-糞口ルート: 感染者の便や嘔吐物によって汚染された手や物を介して口に入ることで感染します。
  • 食品や水の汚染: 感染者が触れた食品や水が汚染源となることがあります。
  • 空気感染: 嘔吐時に発生する微粒子を吸い込むことで感染する可能性があります。

予防策

  • 手洗い: 正しい手洗い方法を実践し、特にトイレを使用した後や食事前には徹底することが重要です。
  • 食品の安全: 食品は適切に調理し、生ものと調理済みの食品は別々に扱うべきです。
  • 感染者との接触回避: 感染者との直接的な接触は避け、感染者の世話をする場合は手袋やマスクを着用することが推奨されます。

治療

ノロウイルス感染症に特有の治療法は存在せず、主に症状の管理に焦点を当てた対症療法が行われます。脱水症状を防ぐために、充分な水分補給が推奨されます。重症の場合は、点滴による水分補給が必要になることもあります。

ノロウイルスは環境中での生存能力が高く、一般的な消毒剤に対しても抵抗性を持つことがあるため、予防と正しい衛生管理が非常に重要です。感染が疑われる場合は、他人への感染拡大を防ぐため、自宅療養と人との接触を避けることが求められます。

 

ちなみに、通常、ウイルスやその治療の研究というのは実験室での人工的にウイルスを増殖させてからでしか行えませんが、ノロウイルスについてはこれが長年できておらず、したがってノロウイルスに対する薬剤開発もスタートラインにすら立てない状況でした。しかし、最近、これが大きく変わるブレイクスルーがありました。IPS細胞から人の腸管細胞を大量に作りそこでノロウイルスを増殖させることに成功したのです。

 

このため、これからはノロウイルスの根本的な治療が可能となる時代が近いかもしれません。これには期待大です。

 それでは今日はこの辺まで。See you next … これら症状にピンとくる方、お子様、ご自身の年齢に関係なく、当院にてご相談下さい。予約なしでも結構です。発熱ある場合は、受付にお申し出下さい。

 

 

 

令和6年3月23日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
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