茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

最もわかりやすい解説:糖尿病治療薬について、茅ヶ崎ファミリークリニック

こんにちは。茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長です。

 

昨日は、当院職員を対象とした勉強会があり、糖尿病治療薬をはじめてテーマにあつかいました。

 

当院は小児科を専門としてキャリアを積んでいるスタッフが多く、それは非常に多くの場面で役立っているのですが、これに内科的な経験と知識なんかが加わると、それこそ鬼に金棒なのではないかと思っております。

 

現代医学の父と言われるカナダの内科医のウイリアム・オスラーは、

 

The very first step towards success in any occupation is to become interested in it.

William Osler

 

「どの職業でも、成功への第一歩は、それに興味を持つことです」という言葉を残しています。

 

 

 

 

オスラーは他にも、「人は血管とともに老いる」という有名な言葉も残しています。ファミリークリニックを開いてあらためて実感すること、川崎病とかもあるけれど、子どもの血管はタフだなあと思います。

 

一方で、糖尿病とはまさに血管を老いさせる、主に腎臓や目や神経にある微小な血管を障害させる病気として、内科医が無視できない重要な病気です。

 

ということで、自分自信の回顧もふくめて、今回は糖尿病治療薬の大まかな分類をあらためて考えてみようと思います。

 

糖尿病は血糖値が正常範囲を超えて高くなる慢性の病気であり、治療には食事療法、運動療法、薬物療法が含まれます。特に薬物療法は、血糖値をコントロールするために重要な役割を果たします。今回は、糖尿病治療薬の種類について詳しく解説しますね。

 

1. インスリン
概要:インスリンは体内で血糖値を下げるホルモンです。膵臓でインスリンが作りにくい場合、人口のインスリンが必要になります。つまり、インスリン製剤は、自己免疫性の1型糖尿病や、経口薬だけでは血糖値がコントロールできない2型糖尿病の患者に使用されます。

 

種類:

速効型インスリン: 食事の直前に使用し、すぐに効果が現れます。例:アスパルト、リスプロ。
中間型インスリン: 効果がゆっくりと現れ、持続時間が長いです。例:NPHインスリン。
長時間型インスリン: 一日中効果が持続し、1日1回の投与が一般的です。例:デテミル、グラルギン。


2. ビグアナイド類
概要:
ビグアナイド類はインスリン抵抗を改善するすることで、肝臓での糖生成を抑え、筋肉や脂肪細胞による糖の取り込みを増加させます。

 

代表薬:

メトホルミン: 最も一般的なビグアナイド類の薬であり、体重増加を引き起こさないため、多くの2型糖尿病患者に処方されます。


3. スルホニル尿素類
概要:
スルホニル尿素類は膵臓からのインスリン分泌を刺激します。

 

代表薬:

グリベンクラミド: 一般的な薬で、血糖値を効果的に下げますが、低血糖のリスクがあります。
グリクラジド: 同様に膵臓からのインスリン分泌を増加させます。


4. DPP-4阻害薬
概要:
DPP-4阻害薬は、インクレチンというホルモンの分解を防ぎ、インスリン分泌を増加させる薬です。

 

代表薬:

シタグリプチン: 一般的なDPP-4阻害薬で、食後の血糖値上昇を抑えます。


5. GLP-1受容体作動薬
概要:
GLP-1受容体作動薬は、インクレチンホルモンを模倣し、インスリン分泌を促進します。

 

代表薬:

リラグルチド: 体重減少効果もあり、2型糖尿病の治療に使用されます。

 

6. SGLT2阻害薬
概要:
SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排出させることで血糖値を下げます。

代表薬:

ダパグリフロジン: 糖尿病治療薬として使用され、体重減少や血圧降下の効果もあります。


7. α-グルコシダーゼ阻害薬
概要:
α-グルコシダーゼ阻害薬は、食事の際に腸での糖の吸収を阻害します。

 

代表薬:

アカルボース: 食事と共に服用することで、血糖値の急上昇を防ぎます。

 

他にもSU剤に似たグリニド剤や、チアゾリジン誘導体などもありますが、かなりマニアックな話になるのでこの辺にしておこうと思います。

 

まとめ
糖尿病の治療は個々の患者の状態や生活習慣に応じて異なります。医師と相談しながら最適な治療法を選択し、定期的な血糖値のモニタリングを行うことが重要です。これらの薬は、それぞれ異なる作用機序を持つため、併用することで相乗効果を期待できる場合もあります。

 

 

それでは、0歳から150歳まで、予約なしでも、みんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

 

令和6年5月18日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
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