茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

シリーズ・喘息⑫ 秋の寒暖差と喘息との関係について 茅ヶ崎市 呼吸器内科

 

こんにちは!

茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です!

 

 

めっきり寒くなってきました。吐く息も寒くなっているような気もする朝です。それでっは、本日は秋の寒暖差と喘息の関係についてリアルに解説します。

 

秋の季節は、日中の温度が高くても、朝晩にはぐっと冷え込み、昼夜の温度差が大きくなります。この寒暖差は、季節の変わり目特有の気象条件によるもので、特に日本のような四季が明確な地域では顕著です。気温差は呼吸器系に強い刺激を与えやすく、喘息患者や呼吸器系が弱い人にとっては非常に影響を受けやすい時期となります。

 

 

当院にも、本当に毎日たくさんの患者様が訪れております。ありがとうございます。

 

 

 

喘息と自律神経について

寒暖差による影響の一つは、自律神経への負担です。人間の自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、体温調節や免疫機能に関与しています。急激な温度変化はこの自律神経の働きを乱しやすく、交感神経が過剰に働くと気管支が収縮しやすくなり、気道が狭くなるため、喘息の発作が誘発されるリスクが高まります。また、免疫システムが一時的に不安定になることもあり、アレルギー反応が起こりやすくなるため、喘息の引き金となることが考えられます。

 

 気道過敏症と喘息の関係


喘息は気道過敏症と密接な関係があり、寒暖差が直接的な原因となるわけではないものの、間接的に発症を促す要因となり得ます。気道過敏症とは、気道が通常よりも敏感に反応しやすい状態のことで、乾燥した冷気や急激な気温の変化が刺激となり、気管支の収縮が起こることがあります。秋には空気が乾燥し、また温度が急激に下がる夜間などの寒冷刺激が加わることで、気道が過敏に反応して喘息発作を引き起こしやすくなるのです。

特に、秋は花粉やダニの活動も活発になるため、喘息患者にとって複合的なリスクが高まります。秋の花粉(ブタクサ、ヨモギなど)は小さな粒子で気道の奥まで入り込みやすく、気道の炎症を悪化させ、喘息を発症させやすい状況を作り出します。また、日中暖かく夜間冷え込む秋の気候はダニの活動も活発化させ、家屋内でのダニアレルゲンの量も増加することがあり、喘息患者にとってさらに過敏な環境となります。

 

乾燥と気道粘膜への影響

秋は湿度が低く乾燥した空気が流れやすいため、気道粘膜が乾燥することが多くなります。気道粘膜は湿潤な状態を保つことで外部からの刺激を防いでいますが、乾燥するとこのバリア機能が弱まり、アレルゲンやウイルス、細菌が体内に侵入しやすくなります。喘息患者にとって、粘膜の乾燥は気道炎症を引き起こしやすく、喘息発作の誘発要因となります。さらに、秋はインフルエンザや風邪といった呼吸器感染症も流行しやすく、これらの感染症にかかると気道がさらに炎症を起こし、喘息が悪化するリスクが高まります。

 

 

寒暖差が喘息発作に及ぼす具体的なメカニズム

 

寒暖差による喘息発作の誘発メカニズムは、複数の要因が複雑に関与しています。主なメカニズムは以下のようなものです。

 

冷気による気道収縮:冷たい空気を吸い込むことで、気道が急激に収縮し、空気の通り道が狭くなります。このため、呼吸がしにくくなり喘息発作を引き起こしやすくなります。特に、秋は日中の暖かい時間帯から急激に冷える夜間にかけて発作が起こりやすくなる傾向があります。

 

免疫反応の過剰活性:寒暖差は自律神経に影響を与え、免疫系も一時的に不安定になります。これによりアレルギー反応が過剰に働き、気道の炎症を引き起こしてしまいます。喘息はこの炎症反応が増強することで発作が誘発されます。

アレルゲンの増加:秋はブタクサやヨモギの花粉が飛散する時期でもあり、これが寒暖差に敏感な気道にさらに負担をかけます。花粉アレルギーと喘息が併存している場合、アレルゲンが気道に侵入し、アレルギー反応が発生しやすくなるのです。

 

対策と予防方法

 

秋の寒暖差による喘息悪化を防ぐための対策としては、以下の方法が有効です。

 

服装の工夫:日中と夜間の寒暖差に対応するため、気温の変化に応じて重ね着やマフラーなどを利用し、冷えを予防します。特に夜間外出時は首や胸元を温め、急な冷え込みによる気道収縮を防ぎます。

加湿:室内の湿度を適切に保つことで、気道粘膜の乾燥を防ぎ、外部からの刺激に対するバリア機能を保ちます。特に就寝中は加湿器を使用するか、濡れタオルを部屋に干すなどして、乾燥しないように工夫しましょう。

アレルゲンの除去:秋は花粉症のシーズンでもあるため、花粉が多い日には窓を閉めたり、空気清浄機を使用して室内の花粉を取り除くことが推奨されます。また、ダニ対策として寝具のこまめな洗濯や換気を行い、ダニアレルゲンの減少を心がけましょう。

医師への相談と薬の調整:喘息持ちの人は寒暖差が激しい時期に発作が起きやすいため、医師と相談し、適切な薬物治療を受けることが重要です。予防薬や吸入薬の使用で発作のリスクを軽減できます。

 

まとめ

秋の寒暖差は、喘息患者にとっては発作を誘発しやすいリスク要因です。冷たい空気や乾燥した環境、さらには花粉やダニといったアレルゲンが複合的に関与し、気道に過度な負担をかけてしまいます。寒暖差が与える身体的影響を理解し、服装の工夫や適切な湿度管理、アレルゲン対策を実施することで、喘息の発作リスクを軽減することができます。

 

長引く咳、お子様も大人も、予約なしでもご相談いただけますと幸いです。

 

 

0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。

 

令和6年10月30日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
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