喘息を持っている方は、特に鼻や上気道の病気を合併しやすいことがわかっています。気道は鼻から気管支までつながっており、ひとつの連続した管として捉えられるため、気道の上側である鼻と、下側である気管支の両方で症状が出ることがあります。また、喘息の方はアレルギー体質の傾向も強いため、アレルギーに関連する病気を併発しやすい傾向があります。以下に、喘息と合併しやすい主な病気について詳しくリアルに解説します。
1. アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンに反応して鼻に症状が現れる病気です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状が典型で、花粉症もこの一種に含まれます。鼻の内部が刺激されると、気道全体に影響を及ぼすため、喘息と症状が重なりやすく、互いの症状が悪化することもあります。
2. 慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)で慢性的な炎症が起こる病気です。鼻づまりや鼻水、匂いがわからなくなるといった症状に加え、顔の痛みが現れることもあります。副鼻腔炎が長引くと呼吸がしにくくなり、喘息の症状が悪化する可能性があるため、同時に治療を行うことが推奨されます。
3. 好酸球性副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎は、慢性副鼻腔炎の中でも特に治りにくいタイプで、再発しやすいのが特徴です。この病気では鼻の中に「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれるポリープができ、鼻呼吸が難しくなります。好酸球という白血球が関係しており、喘息患者に特に多くみられるため、喘息治療と合わせて長期的な管理が必要です。
4. 好酸球性中耳炎
好酸球性中耳炎は、耳に好酸球が集まって炎症が起こる病気です。耳が詰まっているような感覚や、聞こえにくいといった症状が特徴です。喘息患者に多く見られ、治療が難しく再発しやすいのも特徴です。耳と気道はつながっているため、気道の炎症が耳に影響を与えることがあります。
5. 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、喘息や好酸球性副鼻腔炎を併発した後に血管に炎症が生じる病気です。この病気では発熱や筋肉痛、体重減少といった全身症状が見られ、さらに手足の指先のしびれや麻痺、心不全、腹痛、皮疹(皮膚にできるブツブツ)などの幅広い症状が現れることがあります。重症化すると多くの臓器に影響を与えるため、早期の診断と治療が重要です。
6. アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、空気中にいる真菌(カビ)を吸い込むことで気管支や肺でアレルギー反応が起こる病気です。喘息に似た咳や痰、喘鳴(ゼーゼーする音)が主な症状で、通常の喘息の薬が効きにくいことが多いです。重症になると息切れや肺炎を繰り返し、呼吸不全に陥ることがあります。気管支の中でカビが増殖することで炎症が悪化するため、抗真菌薬などの特別な治療が必要です。
7. 喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の併発・オーバーラップ(ACO)
喘息とCOPDの両方の特徴を併せ持つ場合は、ACO(Asthma-COPD Overlap)と呼ばれます。COPDは主にたばこの煙が原因で、肺に炎症が生じ、息切れや慢性的な咳、痰が出る病気です。喘息と似た症状が現れるため、混同されることが多いですが、ACOと診断されることで治療方針が異なります。特にCOPDは進行性の病気であり、放置すると肺機能が悪化しやすいため、早期に診断して適切な治療を行うことが重要です。
喘息と合併する病気への対策
喘息と合併しやすい病気は、気道全体の炎症やアレルギー反応と関係が深いため、定期的な医師の診察を受けることが重要です。また、気道全体の健康を保つため、アレルギーの原因物質を減らす生活環境の整備や、早期に治療を開始することが、喘息や合併症の症状を悪化させないためのポイントです。当院でもお手伝いします。お気軽にご相談を。
それでは、0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和6年10月29日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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