茅ヶ崎ファミリークリニック日記

茅ヶ崎てっぽう道の町医者の思うこと。

人喰いバクテリアとは?茅ヶ崎FCより。

こんにちは。茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長です。

 

先ほど、テンポよく溶連菌感染症について解説したばかりなのですが、何かについて忘れているような、やり残した感が非常にあり、悶々としてました。

 

思い出しました、今ニュースで話題の、人喰いバクテリア、これの正体もまぎれもない、先ほどご紹介した溶連菌なのです。

 

人喰いバクテリア、仰々しい名前ですよね。まるでアニメのキャラクターの様な。

全然詳しくないですけど、るろうに剣心の「人斬り抜刀斎」と同じような響きですよねー。

 

病気の名前は壊死性筋膜炎と言い、その症状としては、

 

手足のむくみ

赤い斑点

激しい痛み

押したときの痛み

発熱

水ぶくれ

皮膚が黒くなる

気分不快・意識が悪くなる

 

などです。

 

これらが急速に進行していく病気で、劇症壊死性筋膜炎となると、数日間で死亡のリスクがあります。これ、先ほども取り上げた、大人であれば皮膚や頭皮に常在することが多い溶連菌が何かの拍子で病原性を持ち、のどや扁桃で悪さをしたり、さらには筋膜を超えてさらに病原性が高まると暴走したのち人を死に至らしめる。

 

学生時代、大学の試験や国家試験ではこの壊死性筋膜炎の症例の治療を答えさせる問題の答えはいつも「デブリードメント」でヤマ中のヤマでした。つまり、抗生剤などだけでは手遅れになるから、感染した組織は手術でどんどんと取り除いていきなさいということ。本当に恐ろしい病気です。

 

不思議なものですね。人斬り抜刀斎と呼ばれたあの剣心のように、人喰いバクテリアもはじめはどこにでもいる何も悪さをしない普通の家庭に生まれた溶連菌として育ち、年頃になると扁桃腺や咽頭をいじめたり、腎臓をいじめたりするようになり、そのうち世捨て人のように人の感情をなくして暴走し、筋膜を超えて人の命を取りに行く。るろうに剣心をまったく知らないので適当ですが、大体そんなイメージでしょうか。なんとはかない不良の物語ではないでしょうか。

 

感染症の偉い先生たちの座談を読みましたが、やはり人喰いバクテリアがいかに普通の溶連菌から病原性を持ち、いかに悪性化するかというメカニズムはいまだに不明なようです。

https://www.saiseikai.or.jp/news/2015/1022/

 それでは今日はこの辺まで。See you next … これら症状にピンとくる方、お子様、ご自身の年齢に関係なく、当院にてご相談下さい。予約なしでも結構です。発熱ある場合は、受付にお申し出下さい。

 

 

 

令和6年3月22日

茅ヶ崎ファミリークリニック

 院長 石井 尚

 

茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
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