こんにちは。茅ヶ崎市、てっぽう道の茅ヶ崎ファミリークリニック、院長の石井です。
昨日に続き、今回は、血糖値を上昇させるホルモンについて詳しく解説いたします。
私たちの体内では、血糖値を一定の範囲に保つために、さまざまなホルモンが働いています。その中でも、血糖値を上げるホルモンは複数存在し、それぞれが異なるメカニズムで作用しています。以下に主要なホルモンとその働きをご紹介します。
1. グルカゴン
グルカゴンは、膵臓のα細胞から分泌されるホルモンで、主に肝臓に作用します。肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解してブドウ糖に変換し、血液中に放出することで血糖値を上昇させます。
私が東京の大学で糖尿病医局に所属していた10数年前の当時、グルカゴン革命という言葉が流行し、インスリンだけではなく、グルカゴンの計測や調整を行うことで糖尿病治療をより高いレベルに進化させようという考え方が急速に普及していました。
実際に、当ブログでも取り上げたマンジャロのようにGIPとGLP-1の2種類の受容体に作用するだけでなく、グルカゴンの受容体にも同時に作用するトリプル作動薬であるretatrutideの開発が2年ほど前のアメリカ糖尿病学会学術集会で発表され、NAFLD(非アルコール性の脂肪肝)や2型糖尿病患者、肥満症患者への応用が期待されています。
2. アドレナリン
アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンで、ストレスや緊急時に多く分泌されます。肝臓でのグリコーゲン分解を促進し、さらに筋肉での糖新生を助けることで、血糖値を上昇させます。
ちなみに、このアドレナリンは日本人が世界で先駆けて発見したホルモンです。いまから120年ほど前、国際的な動物からのホルモン抽出合戦で勝利したのは、牛の副腎から抽出に成功した高峰譲吉先生で、後にこの物質をアドレナリンと命名しました。製薬会社の第一三共さんの初代社長さんのことですね。

(この本は当院待合室で読めます)
同じ頃、ドイツでは豚から抽出して「スプラレニン」、アメリカのチームは羊の副腎から抽出して「エピネフリン」と呼んでいます。残念ながら、海外や日本の医療現場ではエピネフリンとも呼ばれることも多いですが、「日本人なら誇りを込めて絶対にアドレナリンと呼びましょう。」(・・・と、医学生時代に先生たちから何度も言われました。)
3. コルチゾール(糖質コルチコイド)
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、ストレス応答や代謝調節に関与します。肝臓での糖新生を促進し、筋肉や脂肪組織でのインスリン抵抗性を高めることで、血糖値を上昇させます。
4. 成長ホルモン
成長ホルモンは、脳下垂体前葉から分泌され、成長促進や代謝調節に関与します。肝臓での糖新生を促進し、脂肪分解を助けることで、血糖値を上昇させます。
5. 甲状腺ホルモン
甲状腺から分泌されるホルモンで、全身の代謝を活発にします。肝臓での糖新生を促進し、エネルギー代謝を高めることで、血糖値を上昇させます。
これらのホルモンは、血糖値を上昇させることで、エネルギー供給を確保し、生命維持に重要な役割を果たしています。
つまり、生命誕生からいままで、人間や動物の体では、飢餓や低血糖のほうの危険であり、糖尿病とは真逆の状態に対しての危機管理のシステムがこれだけ発達したということです。
当院でもよく説明するのですが、現在わかっているだけでもこれだけ多くの物質が、血糖を上げようとしているのですから、血糖はどうしても上がりやすくなっているのが人間の体です。
しかし、これらのホルモンの過剰な分泌や作用は、高血糖を引き起こし、糖尿病などの疾患のリスクを高める可能性があります。そのため、バランスの取れた生活習慣や適切な医療管理が重要となります。
血糖値の管理についてご不明な点やご相談がございましたら、ぜひぜひ、茅ヶ崎ファミリークリニックまでお気軽にお問い合わせください。
それでは、0歳から150歳まで、予約なしでもみんなが笑顔になる、茅ヶ崎ファミリークリニックです。お気軽にどうぞ。
令和 7年4月6日
茅ヶ崎ファミリークリニック
院長 石井 尚
茅ヶ崎ファミリークリニック(内科・小児科・皮膚科)
〒253-0054 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南5丁目1−21
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